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2024年5月 5日号
経済 ココイチFC新社長は22歳 女子高生バイトから大出世
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 インド人にも〝母国のカレーより美味(おい)しい〟と評判の「カレーハウスCoCo壱番屋」。その「CoCo壱番屋」などをフランチャイジーとして運営するスカイスクレイパー(群馬県太田市)の新社長に、若干22歳の諸沢莉乃さんが就任する。

 諸沢さんは、高校1年生の7月にCoCo壱番屋のアルバイトに応募。接客の楽しさに目覚め、高校を卒業後、ボランティア経験を経てスカイスクレイパーに入社した。社長就任は5月1日付だが、社内では早くもアルバイト出身の女性社長誕生に大盛り上がりという。

 スカイスクレイパーは、西牧大輔社長が東洋大卒業後、壱番屋(愛知県一宮市)の独立支援制度を使って1996年に設立。本部とフランチャイズ(FC)契約を結ぶ形で、現在は関東を中心にCoCo壱番屋25店舗を運営するなどしている。

 運営する店舗は、これまで度々FC本部より表彰を受けており、その評価は非常に高いようだ。大手信用情報機関幹部がこう解説する。

「店舗で修業した人材のオーナー輩出にも積極的で、これまでのオーナー輩出数は20人以上にのぼる。従業員の福利厚生にも力を入れており、2015年7月には『次世代育成支援対策推進法』に基づく行動計画を策定。その目標を達成し、一定の基準を満たした企業として厚生労働大臣から子育てサポート企業『くるみん』に認定されている」

 ただ、収益面の課題も残る。23年4月期は主力のCoCo壱番屋の来客数が回復し、売上高は19億円、10・3%の増収となったものの、材料費や電気代の高騰に伴い利益率はダウンし、営業損失4700万円を計上した。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止協力金及び雇用調整助成金など営業外収益(約1億5000万円)で、かろうじて最終利益4500万円の黒字で着地している。銀行借り入れも23年7月現在で2億9300万円を抱える。

 諸沢さんの抜擢(ばってき)で、スカイスクレイパーはどう変わるのか。同社ホームページでは西牧社長と諸沢さんの対談(昨年9月)が公開されている。西牧氏から社長就任のオファーがあったのは2年ほど前。諸沢さんが当時をこう振り返る。

「最初は、ふざけているのかな...(笑い)、と思ったんですけど、本気だとしても冗談だとしても面白いなと思いました! 高校卒業して大学に通ってない自分にこんなチャンスはどこに行ってもないなと思ったので、冗談で仰(おっしゃ)っているのならば本気にさせようと思っていました!」

 女子高生バイトからの「シンデレラストーリー」は今後、どのような展開を見せるのか。「諸沢さんを社長に選んだ西牧氏の慧眼(けいがん)は確かなものがある」(取引銀行幹部)との期待も寄せられている。

(森岡英樹)

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