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2021年3月28日号
汐留凋落!東京都心から逃げ出す大企業の群れ
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 ▼汐留企業 電通、日本通運は本社売却検討 ソフトバンクは移転、富士通は床面積半減

 本社ビルの売却や「リースバック」、本社機能の移転、オフィス面積の削減―。大企業はオフィス戦略の刷新を急いでいる。とりわけ東京都心の大企業本社が集まる汐留シオサイトは異変に直面する。「コロナ後」を見据えた企業はどう動くのか。

「銀座界隈(かいわい)の小ぶりなオフィスビルから転出する会社の引っ越し作業を毎日のように見ます」

 そう話すのは、不動産金融コンサルタント業「桃太郎パートナーズ」(東京都中央区)の田中伸社長だ。

 オフィスビル仲介大手「ビルディング企画」(千代田区)は全国のオフィスビルの空室率を調査し、公表している。それによると、銀座がある中央区の大型ビル平均空室率は昨年1〜6月にかけて2%前後で推移していた。しかし、7月から上昇し始め、今年1月は4・83%。2年5カ月ぶりの高水準だ。千代田、港、新宿、渋谷の各区を加えた東京都心5区の平均は5・04%とさらに高い。3%台の大阪、名古屋、横浜の各市とは対照的だ。田中氏の見方はこうだ。

「テレワークを導入し、『高い賃料を払う必要性が薄れた』と考える企業が増えました。賃料が高い東京都心から賃料が安いエリアに移る、自社ビルを売却して『リースバック』するといった動きにでています。この傾向は続くでしょう」

 リースバックとは、「セール・アンド・リースバック」の略語で、その名の通り、〈所有している資産を第三者に売却し、その後、第三者とリース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続けることを可能にする取引手法〉(国土交通省資料)をいう。

 東京都心の本社ビルをリースバックすることを決めたか検討中の上場企業が増えている。

 エイベックスは昨年12月、港区南青山の本社ビルを売却すると発表した。今年3月下旬の売却後も同じビルに入居し続けるリースバックとなる模様だ。同社の発表によれば、本業の儲(もう)けを示す21年3月期営業損益は70億円の赤字に転落するが、本社ビル売却益290億円を特別利益として計上し、150億円の最終利益を確保する見込みだ。

 電通グループは1月20日、港区東新橋の再開発地区「汐留シオサイト」に建つ本社ビルの売却を検討していると発表した。リースバックを検討しているようだ。同社の20年12月期最終損益は過去最悪の1595億円の赤字だった。

 日本通運は1月27日、「本社を移転し、汐留シオサイトの現本社ビルを賃貸か売却などの可能性を検討している」と発表した。移転先の新本社ビルは千代田区神田和泉町に建設中。

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