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2021年2月 7日号
金融 企業倒産は異例の低水準なのに"ハゲタカ"が暴れそうな理由
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 企業の経営不振が深刻化しているのは日本に限った話ではない。メガバンクの幹部によれば、経営破綻したか、しそうな企業の債権を買い取るファンドが、海外で相次いで組成されている。

「〝不良債権ファンド〟と言えば聞こえがいいですが、いわゆるハゲタカファンドです。1997~98年の金融危機、2008年のリーマン・ショックの後、海外から日本に大挙して進出しました。金融機関の不良債権を破格の安値で買い取り、暴利をむさぼったのです。コロナ禍の今年、歴史が繰り返されそうです」(メガバンク幹部)

 東京商工リサーチによれば、昨年の企業倒産件数は7773件(負債総額1000万円以上)。実は前年より7・2%も少なく、〈1971年以降の50年間では、バブル期の89年(7234件)に次ぐ、4番目の低水準だった〉(同社発表文)。政府、自治体、金融機関による資金繰り支援が功を奏したことが大きな理由という。同社の友田信男情報本部長が言う。

「業種によりますが、売上高が2割減少すると多くの中小企業が赤字に転落します。当社の調査では、前年同月より売上高が減った中小企業は昨年4~11月は6~8割。今のところ資金供給が続いて倒産が抑制されていますが、いつまでも続くとは限りません。今後については厳しい見方をしており、倒産が高い水準に反転する可能性があります」

 世界中の中央銀行は実体経済の急激な悪化を食い止めようとし、巨額のマネーを市中に供給している。マネーの一部はハゲタカファンドに流れ込み、その総額は10兆円を超えると試算されている。

「ハゲタカに向け、日本企業の債権がバルクセール(まとめ売り)されかねない」と、前出のメガバンク幹部は身構えている。

(森岡英樹)

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