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2021年1月31日号
金融 「肉を食べない生活」は環境に○ 温暖化に敏感な若者向けアプリ
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 政府は温室効果ガス排出量の削減目標を今年中に見直す。現行の目標は「2030年度に13年度比26%削減」というもの。菅義偉首相が昨年10月、「50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明したことから、目標を前倒す必要が生じたのだ。

 産業界もSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた努力が進む。

「上場企業のうち、SDGsの達成に向けて積極的に取り組む企業の株価が上昇する傾向が強まっています。投資家がそのような企業を好むからです」(市場関係者)

 とりわけ若者は地球温暖化に関心が高い。米広報代理店大手ポーターノベリは19年、米国に住む「Z世代」と呼ばれる14〜22歳の若者を対象にしたオンライン調査の結果を公表した。それによると、〈この世代は地球の生態系に引き続き関心が高く(89%)、9割近く(88%)が社会・環境問題に関心を持つ〉。

 地球温暖化を食い止めるため、個人は何ができるのか。スマートフォン用のアプリを運営するベンチャー企業、Moblo(東京都渋谷区)の吉田剛社長は、こう話す。

「肉を食べない食生活は動物愛護や健康の面だけでなく、生産時に排出する温室効果ガスを減らす意味でも、注目を浴びています」

 肉だけでなく、魚介類、卵、乳製品を一切食べない考えの人を「ビーガン」と呼ぶ。

「環境問題に関心が高い若者が気軽に環境保全を応援する方法はないか。試行錯誤した結果、ビーガン向けの飲食店が検索できるなど、持続可能な暮らしをするためのアイデアが得られ、関連商品が買えるアプリ『Bene』を開発しました」

 同社は利用者の閲覧に応じて広告料、出店者から手数料を得る。利益のうち8割を「世界自然保護基金ジャパン」に寄付するという。

 肉を食べる人が喫煙者のように批判される時代が来るかもしれない。

(森岡英樹)

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