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2020年7月 5日号
金融 SBI、銀行と矢継ぎ早に提携「第4のメガバンク」なるか?
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SBIホールディングス(HD)は6月8日、日本政策投資銀行、新生銀行、山口フィナンシャルグループ(FG)とともに、新会社「地方創生パートナーズ」を設立すると発表した。新会社は「地域経済の活性化」「地域金融機関の収益力強化」などを目的とし、北尾吉孝SBIHD社長が社長に就く。SBIグループが資本金5億円の過半を出資し、残りは参加金融機関が分担する。

同グループは昨年から今年にかけて、島根銀行(松江市)▽福島銀行(福島市)▽筑邦銀行(福岡県久留米市)▽清水銀行(静岡市清水区)▽新生銀行(東京都中央区)▽大東銀行(福島県郡山市)――に出資したほか、三井住友FGと資本・業務提携を結んだ。大東銀行の筆頭株主になった模様だ。

北尾氏の狙いは、昨年ぶち上げた「第4のメガバンク構想」。提携する地方銀行のシステムを共通化し、金融商品をインターネットで売買できるようにするなどして、提携行の収益力を高める。結果としてメガバンクに匹敵する巨大金融グループを築くとしている。地方創生パートナーズの設立後、共通システムの提供などをする会社も設立する予定だという。

SBIグループは金融庁OBを重要ポストに据えてきた。16〜18年にかけてスカウトしたのは、乙部辰良元審議官(現SBIインシュアランスグループ会長兼社長)、五味廣文元長官(現SBIHDアドバイザリー・メンバー)、小野尚元総括審議官(現SBI生命社長)。今回の新会社には、長谷川靖元銀行2課長が事務局長に就く。銀行2課は地銀を監督する部署そのものだ。

だが、メガバンク幹部はSBIの動きを冷ややかに見る。

「SBIは地方創生に本気のように見えますが、出資した地銀は経営不振なところばかり。『第4のメガバンク構想』による持ち株会社は、提携行が経営危機に陥った場合、公的資金の受け皿になるのでは」

地銀の本格的な再編につながるか。

(森岡英樹)

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