阿木燿子の艶もたけなわ/220
グラビアタレントとしてデビュー以降、バラエティー番組や映画・ドラマ、さらに近年はエッセー、小説、俳句など文芸の世界でも活躍し、マルチな才能を発揮している壇蜜さん。今週公開の映画「食べる女」では2児の母親役を熱演しています。プライベートではペット好きとして知られていますが、阿木さんも仰天のペットを飼い始めたそうです。
◇白蛇とピンクの蛇。どちらにしようか大分迷い、ピンクの蛇に決めました。
◇そもそもお名前がミステリアスですよね。ご自分で付けられたんですよね。
◇オーディションの時に、名前を見て変な人かも、と落とされたことが結構あって。
阿木 すっかり女優さんが板につかれましたね。今年の初め、小林稔侍さんが主演なさった「星めぐりの町」を拝見しましたが、あの映画では、稔侍さんの娘の役で出ていらっしゃって。
壇蜜 はい。ちょっとお転婆(てんば)な娘で。
阿木 オートバイに乗るシーンがありましたが、もともと乗れたんですか?
壇蜜 大型免許を持ってますので。
阿木 大型とは、ちょっと意外な。この"意外性"が壇蜜さんのチャームポイントのひとつかもしれませんね。お書きになる文章も、とても面白いし。
壇蜜 本当ですか?
阿木 ものを見る視点がユニークで、表現が独特。
壇蜜 私、女子校で小、中、高、大と過ごしたので、ものの見方が多少風変わりなのかもしれません。
阿木 例えば中学時代とか、どんな生徒さんだったのですか?
壇蜜 クラスメートの中には早く大人になりたい派と、いつまでも子供でいたい派が居ましたけれど。
阿木 壇蜜さんはどちら?
壇蜜 何て言うんでしょう、私の場合は、現実的じゃなかったと思います。家で飼っている猫と漫画の世界を行ったり来たりで。
阿木 振り返ってみると、壇蜜さんが思春期の頃って、飯島愛さんがテレビの深夜番組にTバックで出ていた時期ですよね。いわゆる女子学生の援助交際がマスコミの話題になっていた頃。
壇蜜 そうなんです。なので、クラスメートの中にはそういうことに目が行っちゃう子もいましたし。
阿木 私、壇蜜さんの過去のインタビュー記事に目を通していて、ちょっと驚いたのは、10代の頃に壇蜜さんが男性に対して思っていたこととして、男性の性欲を「いずれ関わるであろう、黒い勢力」というふうに表現なさってたことで。
壇蜜 女子校育ちだったこともあり、男性というものが分からなくて、私の中では何か黒いものというイメージだったんです。
阿木 それに性の目覚めのきっかけが、『ゴルゴ13』だったというのも興味深い(笑)。女スパイが毒蜘蛛(ぐも)の拷問に遭うというシーンに強い衝動を受けられたとか。あのー、基本的に『ゴルゴ13』って、少女が読むコミックではないと思うのですが(笑)。
壇蜜 実家に、独身時代に父が読んでいた『ゴルゴ13』が残っていたんです。それで何気なくページをめくっていたら、女スパイが捕まって、体に毒蜘蛛を這(は)わせられるというストーリーがあって、彼女、最後は舌を噛(か)んで死んじゃうんです。私、それを見て、こんなことがあっていいのかと思ったんです。
阿木 毒蜘蛛と女スパイという設定自体、滅多(めった)にないことだと思いますが(笑)。
壇蜜 そうですよね。でも、あの時は大人はみんな、こんなことしてるんだ、と思って。
阿木 いえいえ、かなり特殊なケースで(笑)。でも、そのシーンが心に残ったということ自体、どこか現在の壇蜜さんにつながっていそうですね。また、もうひとつ私が気になったのは、やはりインタビューで、ご自分のことをバイセクシャルというふうに答えていらっしゃいましたけど。
壇蜜 女子校時代に、先輩に凄(すご)く憧れていた時期があって。
阿木 私も女子校育ちなので分かりますが、憧れの先輩にラブレターめいた手紙を渡したりね。
壇蜜 私、銀座でホステスさんのヘルプをしていた時期があって、その時、付いていた売れっ子のお姉さんにもの凄くドキドキしたことがあるんです。とても奇麗な人で、酔った勢いで、その人にキスされたんです。それからはもう、そのお姉さんのことしか考えられなくて、大丈夫かな、私って。そのことを人に話したら、それってバイセクシャルじゃないの、と。あなたに素養があるのかもって。
阿木 ご自分でも"素養有り"?
壇蜜 その人を好きになっても、先は不幸になるのが目に見えているから、本気になっちゃいけないと思ってはいたんですけど。でも、本当に奇麗な人だったんです。
阿木 奇麗な女性に恋心めいたものを抱かれたということは、この秋に公開される「食べる女」には、ぴったりなキャスティングですね。この映画には、美しい女優さんが幾人もお出になってらっしゃる。
壇蜜 はい。小泉今日子さん、鈴木京香さん、沢尻エリカさん、前田敦子さんはじめ、ステキな女優さんが数多く出演されています。
阿木 そして、壇蜜さん。壇蜜さんは2人の子供のお母さん役。どうですか、美しい女優さんの間に囲まれた感じは?