「森友・加計学園」や「桜を見る会」の問題で 明らかになった、公文書の軽視。現政権によってエスカレートする 民主主義崩壊の実態に迫る。
国がどのように物ごとを決めたのか、政府の政策決定の過程がまったく検証できなくなっている。「森友・加計学園」「桜を見る会」、そして検察庁法改正案......これらに共通して見られるのは、政権による公文書の軽視だ。
省庁は、表に出せない公文書を請求されると、「私的な文書」にすり替え、捨ててしまう。あるいは捨てたことにする。重要なやりとりをメールで行い、「メールは電話で話すのと同じ」と言って公文書にしない。公開対象の公文書ファイルのタイトルをわざとぼかし、その中身を知られないようにもしていた。
きわめつきは、官僚にメモすら取らせない、首相や大臣の徹底的な情報統制だ。証拠を隠し、捨てるどころか、そもそも記録を残さないようにしていた。情報開示請求を重ね、官僚が重い口を開く。一歩ずつ真実に近づいてゆく、取材班の記録。
《目次》
序章 霞が関の常識
第1章 不都合な記録
第2章 ファイル名ぼかし
第3章 記録を捨てた首相
第4章 安倍総理の記録
第5章 総理執務室の内側
第6章 官尊民卑
第7章 官房長官の ‶ウソ"
第8章 官僚の本音
第9章 謀略
終章 焚書
《著者紹介》
毎日新聞取材班
毎日新聞社会部・大場弘行記者を中心に、 日本の公文書管理について取材を行う。
大場弘行
おおば ひろゆき/1975年生まれ。 2001年、毎日新聞社入社。 阪神支局(兵庫県尼崎市)を振り出しに、 大阪社会部府警担当、 東京社会部検察庁担当、 週刊誌「サンデー毎日」編集部、 特別報道部などを経て、 現在東京社会部記者。 2017年に「公文書クライシス」取材班を発足、 中心的な役割を果たす。 本書の元となった連載「公文書クライシス」は2019年、 優れたジャーナリズム活動に贈られる第19回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」(公共奉仕部門)大賞受賞。