日本人の生活には、古都に春を招くといわれる東大寺二月堂のお水取りから、盂蘭盆の送り火を背景とする夏の打ち上げ花火まで、仏教に根をもつ行事がたくさんあります。歳時記の季語として収録されている仏教由来の語も少なくありません。暮らしに溶け込み俳句にも詠まれてきた仏教。そしてさらに深く、その世界に身を置いてきた俳人たちもいます。本特集では、そうした俳人たちを紹介するとともに、その作品をとおして、俳句と仏教のまじわりによってもたらされた、精神性の高みにふれたいと思います。
黒田杏子/山口青邨先生との邂逅その恵み
髙樹のぶ子さんが、昨年文化功労者に選ばれました。そして、選出後初の出版となる『ほとほと 歳時記ものがたり』(毎日新聞出版)の発刊記念を兼ねて、東京都中央区・八重洲ブックセンターで「季節と日本人」と題した講演会が開かれました。日本人の美意識を西欧と比較し、日本における「色」と四季の巡りの関係が平安時代の文化を基にひもときます。
【対談】宇多喜代子 vs 小澤實
古今の俳句を鑑賞した著書のある宇多喜代子さんと、本誌に連載した「新秀句鑑賞」を『名句の所以』(毎日新聞出版・平30)にまとめた小澤實さん。名アンソロジストのお二人が、宇多さんの第八句集『森へ』(青磁社・平30)収録の作品を取り上げるとともに、『名句の所以』所収の名句を語り合いました。前号の小澤さんと堀本裕樹さんの対談「これからの名句の話をしよう」の続編です。
◆特集・俳句と仏教
五木寛之/水なき陸地に沈む人
飯田龍太/愛別離苦ー遠い日のこと
市堀玉宗/異形衆としての生き方
仏心の俳句
尾崎放哉・種田山頭火・荻原井泉水・川端茅舎
高岡智照尼・河野静雲・松野自得・森田雷死久
喜谷六花・大谷句仏・名和三幹竹・尾崎迷堂
八幡城太郎・中川宋淵・住宅顕信・大峯あきら
◆『ほとほと 歳時記ものがたり』発行記念講演より
季節と日本人 髙樹のぶ子
◆シリーズ「季語を考える」④
小川軽舟「季語で楽をしていないか」
小林貴子「読者として無季俳句を読むために」
堀田季何「どこまで考えているか」
横澤放川「ふたたび季語ということ」
◆夏井いつき/発掘 忌日季語辞典⑥
アベベ忌/百円札忌・入選句発表!
◆名句を読む/句集 『森へ』・アンソロジー『名句の所以』刊行記念
【対談】宇多喜代子 vs 小澤 實
【新作俳句】
伊丹三樹彦・鍵和田秞子・茨木和生
亀田虎童子・加藤耕子・山崎 聰・山尾玉藻・対中いずみ
鈴木牛後・上田日差子・高山れおな・藤本夕衣・大塚 凱
【かけ出し俳人のための心得教室】⑥「作句への取り組み方」
奥坂まや/写生は季語との出会い
岸本尚毅/同じ材料で複数の句を詠む
山田真砂年/我慢すること
安里琉太/コラム 漢字でなければいけませんか?
【カラー連載】
中村琢磨/旅のうた
伊藤伊那男/一句一菜⑥(7月、8月、9月、旬のレシピ)
石田郷子/山里暮らし⑥「盂蘭盆」
【大好評連載】
宇多喜代子/移りゆく日本の暮らし⑥「昭和の子ども」
髙柳克弘のよくわかる名句鑑賞⑥
星野高士の添削塾 ⑥
【カラー歳時記】
暮らしの歳時記365日(7月、8月、9月)
【ニュース:あるふぁウオッチ】
大牧広氏、逝く
夭逝の自由律俳人を描く映画「ずぶぬれて犬ころ」公開
アプリ「俳句てふてふ」大幅リニューアル 毎日新聞社
現代俳句協会と図書館流通センター(TRC)、「図書館俳句ポスト」事業を開始
「国民文芸 俳句の力 金子兜太の世界」開かれる
【あるふぁ俳壇 入選作品発表】
池田澄子・井上弘美・小川軽舟・高野ムツオ、選
『柿本多映俳句集成』/柿本多映著/評・大井恒行
河出書房新社シリーズ『作家と楽しむ古典 松尾芭蕉/おくのほそ道 与謝蕪村 小林一茶 近現代俳句 近現代詩』/松浦寿輝・辻原登・長谷川櫂・小澤實・池澤夏樹著/評・樫本由貴
ほか