紀伊國屋じんぶん大賞2016読者と選ぶ人文書ベスト30入選
朝日新聞2015「今年の3点」(武田徹氏選)
東京大学生協のベストセラー! 駒場書籍部で4カ月連続の人文1位(2015年6~9月 月間ランキング)
東京大学本郷書籍部の年間売上ランキング、人文書1位!(2015年8月~2016年7月)
安保法制、憲法改正、歴史問題、朝日新聞問題・・・真のリベラルは、今いかに考えるべきか。
リベラリズム論の第一人者、「怒りの法哲学者」井上達夫東大教授が、右旋回する安倍政権と、欺瞞を深める胡散臭い「リベラル」の両方を、理性の力でブッタ斬る!
【本書の内容から】
「自由主義」にあらず/「憲法九条」削除論/「護憲派」の欺瞞/「平和主義」の論理的破綻/安倍政権「集団的自衛権」の愚/リベラルからの「徴兵制」提言/「悪法」も法か/「主権国家」の必要/「白熱教室」の功罪/「世界正義論」への道/「哲学」の死
【著者「あとがき」より】
いま、「一強多弱」と言われる自民党の圧倒的優位の下で、安倍政権による政治の右旋回が急速に進む一方、野党勢力は民主党も他の諸党も党派間・党派内で右から左まで分裂し、リベラルな対抗軸は結集されていない。
それどころか、慰安婦報道問題等での不祥事を契機とする朝日新聞へのバッシングに象徴されるように、「リベラル嫌い」が、「右翼」や「ネトウヨ」の枠を超えて、一般の人々の間にも広がっている。しかし人々に迷いもある。たしかにリベラル派を気取るメディアや知識人は胡散臭い。でも強引に右旋回する安倍政権とそのシンパにも危うさがあり不安だ、と。
リベラリズムの哲学的基礎を解明し、その観点から法と政治の問題を考察してきた私には、まさにいま、この状況下でこそ、リベラリズムの原理とは何かを一般社会に対して説明し擁護する知的・実践的な責任があるのではないか。いつやるのか。いまでしょう。(中略)本書は、現下の政治状況に対する応答を動機としているが、単なる時局論ではない。時局的問題にも論及しているが、主たる狙いは、時局的問題を読者が自ら筋道を立てて原理的に考察するための哲学的視座を提供することである。
著者について
いのうえ たつお/1954年、大阪市生まれ。77年、東京大学法学部私法コース卒業。東京大学法学部・教養学部助手、千葉大学法経学部助教授、ハーバード大学哲学科客員研究員、東京大学法学部助教授を経て、95年より東京大学大学院法学政治学研究科教授。法哲学専攻。86年、『共生の作法――会話としての正義』で、(86年度)サントリー学芸賞(思想・歴史部門)受賞。2005年、『法という企て』で、第17回(04年度)和辻哲郎文化賞(学術部門)受賞。09~13年、日本法哲学会理事長。05~14年、日本学術会議会員。