人はなぜ生きるのか。生きなければならないのか。
世代を超えて読み継がれる哲学書のロングセラー
「人は弱っている時や元気がありすぎる時、
誰かの断言が必要で、
そんな時、池田さんの言葉はグリグリくるのです」
ヨシタケシンスケ
なぜ人は生きるのか? 何のために、生きるのか? 混乱しきったこの世界で、君 はどうやって生きていけばいいだろう。「友愛」「個性」「社会」「戦争」「言 葉」......いま、考えておきたい16のこと。迷っている心に、自ら考える力を。確か な言葉でつづられた<人生の教科書>
■女性哲学者がやさしく
北田博充・二子玉川蔦屋家電人文コンシェルジュ
書評:毎日新聞「親子をつなぐこの1冊」(2020年2月3日付)より
中学生の頃は教科書を暗記してさえいれば正解にたどり着けた。しかし、大人になるにつれて、答えのない問題に直面することが増えた。日々迷うことや悩むことばかりだ。
当時、学校の先生は「人生は人それぞれ」とか、「正解は一つではない」とか、毒にも薬にもならないことを言った。そんな学校の先生から教室で学ぶより、この本を読む方がよほどためになると、今の私ならわかる。
本書は2007年に亡くなった哲学者、池田晶子さんが、14歳の中学生向けに書いたエッセー集。友愛・個性・幸福・人生など16のテーマを設け、中学生に優しく語りかけるような文章で「自ら考える力に目覚める」重要性を説いている。
「本当の自分なんていうのは、最初からいないんじゃないか。ないものを見つけようとしているから、見つかるはずがないんじゃないか」と揺さぶりをかけたり、「人に好かれようとするよりも、人を好きになるようにしよう」と勇気づけたりしつつ、「なぜ人は生きてゆかなければならないのか」という、人生でもっとも重要な問いと向き合う。逃げたり、はぐらかしたりすることなく、14歳と真剣に向き合おうとする気迫と覚悟が感じられる。
できれば中学生の頃にこの本に出合いたかった。受験の役には立たないが、人生の役には必ず立つ。思春期のお子さんにそっと差し出すのに最適な本だろう。
著者について
いけだ あきこ/一九六〇年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科を卒業。文筆家と自称する。池田「某」とも。専門用語による学問としての哲学ではなく、日常の言葉によって平易に哲学を語る「哲学エッセイ」を確立して幅広い読者から支持される。とくに若い人々に、本質を考えることの面白さ、形而上の切実さを、存在の謎としての生死の大切を、語り続けた。新宿御苑と神宮外苑の四季風景を執筆の伴とし、富士山麓の季節の巡りのなかに憩いを得て遊ぶ。山を好み、先哲とコリー犬そして美酒佳肴を生涯の友とした。『14歳からの哲学』『14歳の君へ』などの著述で話題を呼ぶ。著作多数。二〇〇七年春、大風の止まない夜に、癌により没す。その業績と意思を記念し、精神のリレーに捧げる「わたくし、つまりNobody賞」が創設された。