キーポイントは、「"公開情報" をどう読みとくか」
最新国際情勢を、外交のプロがときほぐす!
混迷の時代を生き抜くための1冊。
日本は情報大国です。日々の国際情勢についての報道や分析について、大量の情報を新聞、ラジオ、テレビ、インターネットから得ることができます。情報の基本は新聞です。インターネット空間には、厖大な情報が流れていますが、そのほとんどのオリジナル情報は新聞です。私はインターネットに関しては、新聞社、テレビ局のホームページ、各国政府機関のホームページ以外はほとんど参照することがありません。それでも国際情勢を分析する上で、大きな支障にはなりません。
出来事に対する見方は、雑誌に掲載された専門家の論考が重要になります。しかし、21世紀に入った頃から、有識者のポジショントークが増えてきたように思えてなりません。(略)しかし、国際関係は生き物です。国際社会で起きている現実の出来事から目をそらして、ポジショントークを繰り返しても、事柄の本質から遠ざかっていってしまうばかりです。(本文より)
目次
はじめに
第1章 コロナ禍がもたらした世界の変化
グローバリゼーションの終焉/日本が「自粛」を選ぶ理由/「翼賛の思想」/グローバリゼーションとインターナショナリゼーション/グローバルからローカルへ/格差の拡大/ファシズムの処方箋/フランスの「自由、平等、友愛」/「友愛」の役割/「社会」が前提/「自助」と「国助」
第2章 アメリカの情勢
大統領選挙/アイデンティティーの政治/赤vs.青ではなく、紫/ロビー活動/日米首脳会談/台湾をめぐる今後の中国の動き/ウイグル問題/バイデン時代の対中関係/バチカンの戦略/日本の宗教への影響/トランプ政権の逆を行く/日本の対米政策
第3章 ミャンマー問題から、米中対立の構図まで
アメリカの対ミャンマー政策/日中戦争/ミャンマー軍事政権への日本の態度/日本の果たすべき役割とは/米中対立/アメリカのロシア観/アメリカのアフガニスタン政策/イスラエル・パレスチナ問題/「イスラム聖戦」による攻撃
第4章 ロシア外交
アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放要求デモ/プーチン政権は安泰/プーチン大統領の宮殿/『人新世の「資本論」』/ナワリヌイ氏のデモとプーチン政権/言論の自由が、意外と認められているロシア/拘置所からのナワリヌイ氏のメッセージ/ロシア政府がデモ封じ込めに成功した理由/北方領土問題/ロシアからのシグナル/地球温暖化とロシアのエネルギー問題
第5章 オリンピックに問題に見る日本の状況
オリンピック開催について/政治問題化してしまったことの失敗/共産党の動き/共産党の中国批判/日本共産党100周年/「翼賛」/ワクチン問題/言葉の「荒れ」/三つのアイデンティティー/沖縄のアイデンティティー/アンビバレントな感覚/ナロードノスチ(亜民族)という概念
今後のニュースは この人物に注目!
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あとがき
著者について
1960年、東京生まれ。作家・元外務省主任分析官。同志社大学大学院神学研究科修了。主な著書に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)『自壊する帝国』(新潮社、新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)『獄中記』(岩波書店)『見抜く力』(プレジデント社)『真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960』(池上彰氏との共著、講談社) 『「悪」の進化論 ダーウィニズムはいかに悪用されてきたか』(集英社インターナショナル)『還暦からの人生戦略』(青春出版社)などがある。