昭和17(1942)年6月、日本海軍が米軍に大敗したミッドウェー海戦。日米戦死者3418名の詳細を突き止め、彼らの生と死、そして遺族たちの声をたどり、戦争の実相に迫った渾身のノンフィクション。
油槽船「あけぼの丸」で戦死した10名と遺族、そして生き残った元兵士の戦後。結婚から戦死まで1カ月余り――日米の若き士官パイロットの慟哭。[全5巻]
【目次】
第十三章 「あけぼの丸」
海戦の告知
消えた肉体
受洗した妻
「軍国の父」
老兵や哀れ
第十四章 まぼろしの蜜月
最後の結婚
アラバマ州モンゴメリー
反ファシズムの火
一日違いの挙式
のこす言葉
待機するミッドウェー
戦死公報のあと
戦火熄(や)む
妻たちの転機
「わが伴侶 わが花嫁」
真紅の爪
タイム・スリップ
著者について
さわち・ひさえ
ノンフィクション作家。1930年9月3日、東京・青山生まれ。4歳のとき家族ぐるみで満州(中国東北部)へ移住。吉林で終戦を迎えた。1949年、中央公論社入社、経理部員として働きながら早稲田大学第二文学部(夜間)で学ぶ。卒業を機に「婦人公論」編集者に。将来を期待されていたが、28歳のときに僧帽弁狭窄症と宣告され、重い心臓病との二人三脚が始まる。1963年、編集次長をさいごに退社。以後約10年にわたり五味川純平の助手を務め、『戦争と人間』の注を執筆した。
著書に『妻たちの二・二六事件』『密約 外務省機密漏洩事件』『火はわが胸中にあり 忘れられた近衛兵士の叛乱 竹橋事件』(日本ノンフィクション賞、1978年)『昭和史のおんな』『石川節子 愛の永遠を信じたく候』『もうひとつの満洲』『雪はよごれていた 昭和史の謎 二・二六事件最後の秘録』『家族の樹 ミッドウェー海戦終章』『14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還』ほか多数。
『滄海(うみ)よ眠れ ミッドウェー海戦の生と死』は、資料篇にあたる『記録ミッドウェー海戦』とあわせ、1986年の菊池寛賞受賞。2008年度朝日賞受賞。