独眼龍の野望。東北魂を見ろ!
陸奥・出羽(東北)連合軍を仕立て、日本全国を切り取ってやる!
一度目〈天正十八年(一五九〇)〉の夏は時間が足りなかった。
二度目〈天正十八年(一五九〇)〉の冬に行った謀は失敗した。
三度目〈慶長五年(一六〇〇)〉の正直。
四度目〈慶長二十年(一六一五)〉の再挑戦は......
秀吉死後、関ヶ原前夜、政宗は家康に呼応し、山形の最上義光とともに会津の上杉謙信を攻め、上杉領の白石城を攻め落とした。しかし中央での東軍と西軍の争いは長期化するとみて、上杉と講和し、南の相馬、北の南部を攻める機会をうかがっていた。しかし、政宗の予想ははずれ、関ヶ原の戦いは一日で決してしまう。
石田・徳川の思惑、上杉・最上との複雑な外交戦。秀吉、家康、時の政権を翻弄しながら、戦国の世をしたたかに生き抜いた伊達政宗の新たな人物像を巧緻な筆致で描く。書き下ろし歴史小説。
「もはや、戦はござりませぬ。ゆえに、お屋形様は国の豊かさで天下を取られませ」(片桐景綱)
「承知した。相変わらず、そちは千里眼じゃな。そちは、失った儂の目であり、伊達の目じゃ」(伊達政宗)
目次
序章 底倉の屈辱著者について
このえ たつはる/1964年生まれ。通信社勤務、フリーライターを経て『時空の覇王』でデビュー。