この国の「暗さの原因」がわかれば、
次に打つ手が見えてくる。
時代がどうあれ
生き延びてゆくための
ウチダ流哲学。
特に今の若者たちはほんとうに厳しく、生きづらい時代を生きていると思う。
著者が10代だった1960年代は明るい時代だった。
米ソの核戦争が始まって世界が滅びるのではないかという恐怖が
一方にはあったが、そんなことを日本人が心配しても止める手立てもない。
「どうせ死ぬなら、今のうちに楽しんでおこう」
という半ばヤケクソの、ワイルドでアナーキーな気分が横溢していた。
だから、自由で、民主的で、いろいろな分野で次々と
イノベーションが起きるとても風通しのいい時代だった。
今の日本の社会はそれに比べると、とても風通しが悪い。
息が詰まりそうだ。
世界は移行期的混乱のうちにあり、
あらゆる面で既存のシステムやルールが壊れかけているのに、
日本の社会はその変化に柔軟に対応できず、硬直化している。
誰もが「生きづらさ」を感じている。
それはなぜなのか。どうしたらよいのか。
思想家・内田樹がその原因を解きほぐし、
解決のヒントを提示する。
目次
第1章 矛盾に目をつぶる日本人著者について
内田樹(うちだ・たつる)
1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授、芸術文化観光専門職大学客員教授、昭和大学理事。東京大学文学部仏文科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。神戸で哲学と武道研究のための私塾凱風館を主宰。合気道七段。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で第3回新書大賞、執筆活動全般について第3回伊丹十三賞を受賞。著書に『ためらいの倫理学 戦争・性・物語』『先生はえらい』『寝ながら学べる構造主義』『下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち』『レヴィナスと愛の現象学』『死と身体』『街場の現代思想』『困難な成熟』『直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座』『武道的思考』『そのうちなんとかなるだろう』『サル化する世界』『日本習合論』『コモンの再生』『コロナ後の世界』『レヴィナスの時間論 「時間と他者」を読む』、池上六朗氏との共著『身体の言い分』など多数。