書籍

思想・哲学・心理・教育
生きづらさについて考える
著者  内田 樹
発売日:2019年8月24日
ISBN:978-4-620-32598-9
判型:四六判
頁数:304頁
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書影:生きづらさについて考える
定価:1760円(税込)
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この国の「暗さの原因」がわかれば、
次に打つ手が見えてくる。
時代がどうあれ
生き延びてゆくための
ウチダ流哲学。

特に今の若者たちはほんとうに厳しく、生きづらい時代を生きていると思う。
著者が10代だった1960年代は明るい時代だった。
米ソの核戦争が始まって世界が滅びるのではないかという恐怖が
一方にはあったが、そんなことを日本人が心配しても止める手立てもない。
「どうせ死ぬなら、今のうちに楽しんでおこう」
という半ばヤケクソの、ワイルドでアナーキーな気分が横溢していた。
だから、自由で、民主的で、いろいろな分野で次々と
イノベーションが起きるとても風通しのいい時代だった。

今の日本の社会はそれに比べると、とても風通しが悪い。
息が詰まりそうだ。
世界は移行期的混乱のうちにあり、
あらゆる面で既存のシステムやルールが壊れかけているのに、
日本の社会はその変化に柔軟に対応できず、硬直化している。
誰もが「生きづらさ」を感じている。
それはなぜなのか。どうしたらよいのか。

思想家・内田樹がその原因を解きほぐし、
解決のヒントを提示する。

目次

第1章 矛盾に目をつぶる日本人
私たちは歴史から何も学ばない/小津安二郎の写真から/「黒船」を歓迎する感性/知性を憎む知識人/隣国に学ぶことを忘れた日本/僕が家庭科を大事だと思うわけ/空虚感を抱えたイエスマン/情理を尽くして説く――書き手に求められているもの/「新潮45」事件を振り返る/無言でも無駄話でも「会議」になる

第2章 気が滅入る行政
日本社会全体が「株式会社化」している/安倍政権と米朝対話/#MeToo運動は「セクハラ狩り」か/思考停止のためのルール/ビンボくさい日本のカジノ/水は誰のものか/崩壊へのタイムリミット/大阪万博という幻想/60年代は一億総思い込みで上昇した/東京五輪のために「サマータイム導入」の愚


第3章 ウチダ式教育再生論
「教育」まで株式会社化したこの国の悲劇/格付けできないのが「知」/企業が望む「即戦力」の正体/「イエスマンシップ」に屈した教職員/街場の東大論/「金魚鉢」のルールとコミュニケーションの誤解/「最悪の時代」を生き抜くための学び方

第4章 平成から令和へ生き延びる私たちへ
平成から振り返る、昭和的なもの/ウチダ式ニッポン再生論――東北に優先して資源を集中させよ/学校の「安全神話」が起こす悲劇/天皇というフィクション 「天皇主義者」宣言について聞く――統治のための擬制と犠牲/ニッポン「絶望列島」化――「平成」の次を読み解く /再びアメリカに敗れた日本――「平成」を総括/日本人の「自由」を再定義する/中国の若者よ、マルクスを読もう

第5章 人生100年時代を生きる
破局の到来/定年後をどう生きるか/街場の2019年論


著者について

内田 樹

内田樹(うちだ・たつる)

1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授、芸術文化観光専門職大学客員教授、昭和大学理事。東京大学文学部仏文科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。神戸で哲学と武道研究のための私塾凱風館を主宰。合気道七段。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で第3回新書大賞、執筆活動全般について第3回伊丹十三賞を受賞。著書に『ためらいの倫理学 戦争・性・物語』『先生はえらい』『寝ながら学べる構造主義』『下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち』『レヴィナスと愛の現象学』『死と身体』『街場の現代思想』『困難な成熟』『直感はわりと正しい 内田樹の大市民講座』『武道的思考』『そのうちなんとかなるだろう』『サル化する世界』『日本習合論』『コモンの再生』『コロナ後の世界』『レヴィナスの時間論 「時間と他者」を読む』、池上六朗氏との共著『身体の言い分』など多数。

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