「あったことをなかったことにはできない」
安倍晋三首相と親密な関係といわれる学校法人加計学園が、国家戦略特区に獣医学部を新設した問題で、官僚トップの事務次官を務めた著者がなぜ「総理の意向があった」と記された文書の存在を認めたのか。
「公正・公平であるべき行政が歪められた」として、安倍政権下で起きた加計学園問題をはじめ「権力私物化」の構造を糾弾する。
そして、「道徳の教科化」や「教育勅語」の復活など、安倍政権が進める教育政策に警鐘を鳴らす。
さらに、文部科学省という組織の中で、「面従腹背」しながら行政の進むべき方向を探し続けた38年間の軌跡を振り返る。
目次
はじめに~個人の尊厳、国民主権著者について
1955年奈良県御所市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年、文部省(現・文部科学省)入省。宮城県教育委員会行政課長、ユネスコ常駐代表部一等書記官、文部大臣秘書官などを経て、2012年官房長、2013年初等中等教育局長、2014年文部科学審議官、2016年文部科学事務次官に就任。2017年1月、退官。
現在、自主夜間中学のスタッフとして活動するほか、講演や執筆も行う。著書に『面従腹背』(毎日新聞出版)、共著に『官僚の本分 「事務次官の乱」の行方』(かもがわ出版)、『この国の「公共」はどこへゆく』(花伝社)などがある。