フィルムに刻まれた"神の山"の真髄、驚異の画像
2013年6月、富士山はユネスコ世界遺産委員会によって「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された。
太陽光に月光に無限に姿を変える富士山は古代より"神の山"としてその雄大な姿と絶大な美しさで庶民の尊敬を集めてきた。富士は信仰から芸術表現にいたるまで、日本人の精神文化に欠かせない存在となっている。
写真家・大山行男は富士山麓に住み、毎日富士を眺め、富士山漬けの日々を送る。
厳冬の富士山頂、周辺の山々や樹海、湖畔を歩きまわり、時に荒々しく、時にこの世のものとは思えないほど微細に彩られた"神の山・富士"を撮り続けている。
本写真集は大山行男がフィルムに刻んだ、多様多彩な雲と太陽光が創り出す変幻自在な不思議な一瞬や、樹海、風穴などの膨大な時間を経て出現した異次元の空間など、"神の山"の真髄ともいえる富士の驚異の画像をダイナミックに再現した極彩色の豪華写真集。
■概要
富士120カット ーーーーーーーーーーーー P001
MAP ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー P133
富士から学んだこと..... 大山行男 ーーーーーーーー P134
What I learned from Mt. Fuji Yukio Ohyama ーー P140
写真解説 Photo Description ーーーーーーーーーー P142
プロフィル ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー P150
■[富士から学んだこと]より
ある日不思議な樹型溶岩を見つけた。地上には二つの大きな穴が開いていて深さ四~五メートル、地下では一つのホールになっていた。縄バシゴを降ろしてさっそく入る。穴の底に着くと八畳くらいの広い空間があった。・・・私は二つの穴の真ん中に立ち、三脚を立てカメラを載せた。・・・二つの穴は人の目のようで地上から地下に向かって私を睨んでいるようでもあった。・・・
■[写真解説]から
(2) 上九一色村(現・富士河口湖町)
山頂から日が昇る瞬間である。右に剣ヶ峰、太陽の左にちょこんと尖った岩が雷岩、左の一段高くなった所が釈迦の割石、さらに左に白山岳、山麓は無風状態だったが山頂では雪煙が飛ぶ。
(26) 南アルプス赤石岳
独立蜂の富士はとても敏感だ。沖縄に台風が接近すると即座に反応を示す。山頂上空でうずまき雲が朝焼けしていた。
(44) 須走七合目小屋前から
眼下に見える湖は山中湖。その先に雷が光っているのは東京方面。いつだったか東京で大雨が降った時もこのような情景だった。
(55) 精進湖
かつては剗海と言って大きな湖だったが、1200年前に長尾山からマグマが流れ出し、本栖湖、西湖、精進湖の三つに分かれた。
(86) 青木ケ原樹海
樹海の中には自然が作った落とし穴が無数にあり、けもの道の近くの穴にカモシカの骨が白く光っていた。
(95) 本栖第二風穴
春の洞内はデコボコとしたアイススケートリンクのようだ。つらら、氷柱、氷筍が所狭しと出現する。
■田貫湖 |
■上九一色村(現・富士河口湖町) |
■鳴沢村紅葉台 |
■梨ケ原 |
■青木ケ原樹海 |
■石塚火口 |
■河口湖町郊外 |
■三ツ峠 |
著者について
1952年 神奈川県生まれ
1972年 全国各地を放浪しながら、写真活動を始める
1976年 この頃より富士山の魅力にひかれ、富士山を専門に撮り始める
1985年 山梨県忍野村に転居。富士山の麓で暮らしながら撮影に専念する
1990年 富士西麓の朝霧高原に自らの手でフラードームの家を建て転居
1993年 撮影に自作の超大型8 x 10カメラを使い始める
2010年 日本写真協会作家賞受賞
2014年 次世代の企画である8Kスーパーハイビジョンの映像を製作するため、デジタルカメラを使用してのタイムラプス撮影を始める
現在も樹海や内側から観た富士山など、富士の新しい映像を追い続けている。ここ数年はアジアの大地に新たな舞台とテーマを求め、インドやネパール、パキスタン、ミャンマーでの撮影活動にも精力的に取り組んでいる。