最近、「マタハラ」「保活」「妊活」「待機児童」「ワンオペ育児*」など、育児に関する言葉がメディアに頻繁に登場し、旬のテーマとなっています。
実のところ、子育て中の女性はたいていヘトヘトです。早朝から夜遅くまで家事に育児に、さらに仕事にと一日中働きづめ。自分の髪の毛はパサパサ、爪はネイルケアどころかささくれも放置。職場では早退や急な欠勤を繰り返しペコペコ頭を下げ続け、休日に子連れで街に出ればベビーカーがじゃまだと舌打ちされます。帰宅した後は、「お腹すいたー」「ゲーしたー」と次々突き付けられる子供の要求に休む間もなく対応。家では誰かのためにタダの仕事、職場では男性よりも低い賃金の仕事という二重の労働を担って、毎日「ワンオペ」で十数時間働き続けています。まるでブラックな労働です。疲れ切った心身が叫び声をあげます。「私、もうヘトヘトなんですけど! 」
本書では、社会学の研究者であり、また教員であり、さらに4歳の子の母親でもある著者が、子育て真っ最中の男女をめぐる現状を取材し、当事者の立場から伝え、読み解き、乗り切る方法を提案します。
*ワンオペ育児:ブラック企業の「ワンオペ」(ワンオペレーション=1人作業)が母親たちの育児や家事の状況とそっくりなことから、ネット上を中心に使われ始めた。著者がコラムで「ワンオペ育児」の定義や実態を書いたことが、この言葉が子育て世代の間で爆発的に広まるきっかけとなり、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などさまざまな媒体から取材を受けてきた。著者は、この新語を世間に広めた立役者といえる。
目次
第1章 産みにくい社会