これからは自由だ!
だが「何をすればいいのか」という漠然とした不安はないだろうか。
心理学者が贈る定年後の「遊び論」。
私たちは挟まれてきた。上司と部下に、仕事と家庭に。
全ての人は自分の欲求と社会の欲求に挟まれてきたのだ。
定年後は通勤もなく、退屈な会議もない。待ちに待った自由な時間のはずなのに、「何をすればいいのか」と漠然とした不安が出てきてしまう。
心理学をベースに漠然とした不安の根源を解説し、定年後の楽しみ方、遊び方を具体的に、ユーモラスに解説していく。
<著者>
赤井 誠生(あかい せいき)
1952年、大阪府生まれ。
大阪大学文学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科教授などを経て、現在、大阪大学名誉教授。博士(人間科学)。専門は基礎心理学、動機づけ心理学。
主な著書に『実験心理学への招待〔改訂版〕(第6章 動機づけ・情動)』(共著、サイエンス社、2012年)、『新・行動と脳(第Ⅲ部第1章 行動の発達)』(大阪大学出版会、2006年)、『新・心理学の基礎知識(感情・動機づけ)』(有斐閣、2005年)などがある。
<執筆協力>
野村 弘平(のむら こうへい)
1976年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。
動機づけ、共感、色彩の認知を専門とし、物語を楽しむ心理についても研究している。現在は英文翻訳にも携わっている。
主な著書に『実験心理学への招待〔改訂版〕(第6章 動機づけ・情動)』 (共著、サイエンス社、2012年)などがある。
目次
第1章 定年後の自由はちょっと怖いかもしれない
自由は不安の原因になる
老いては誰にも従わない
私たちがしたいこと その① ─基本的欲求─
私たちがしたいこと その② ─社会的欲求─
❖ちょっと寄り道 老年心理学のさわりだけ
第2章 定年後は遊びたくなる
遊びは大事なものだ
遊びを引き起こすものは内発的動機づけ
お金をもらうと面白くない ─自己決定性と有能性─
定年後は自己決定ざんまいだ
❖ちょっと寄り道 アイデアを思いつく時
第3章 私たちは情報が大好きだ
刺激が全然入ってこなかったらどうなる? ─感覚遮断実験─
❖ちょっとくわしく 私たちは赤ちゃんの時から好奇心いっぱいだ
私たちが見たがっているものは
第4章 驚きで遊ぶ
驚くことは面白い
驚きは人にものを考えさせる
人を驚かせて面白がる ─いたずら─
❖ちょっと寄り道 天ぷら君の話
第5章 曖昧さで遊ぶ
曖昧なものは面白い
❖ちょっとくわしく 「曖昧に見えるもの」への興味に関する実験
曖昧な趣味──賭け事
生活のなかにも賭け事がある
第6章 新しさで遊ぶ
新しいものは面白い
ものの見方を変えて新しいものを見る
新しいものは向こうからもやってくる
第7章 変化で遊ぶ
変化するものは面白い
季節の変化を楽しむ
株価の変化を楽しむ
心の変化を楽しむ
自分の変化による変化を楽しむ
❖ちょっと寄り道 仕事と遊びの違いって?
第8章 驚きと曖昧さと新しさと変化の関係は
テレビ、ネット、本、ゲームは驚き、曖昧さ、新しさ、変化の宝庫だ
驚きと曖昧さ新しさ、そして変化の関係は
第9章 自分で勝手な目標を立てて遊ぶ
ズレは面白い
勝手な目標を立てる
❖ちょっとくわしく 目標に関する実験
❖ちょっとくわしく 夢中になるためには
ズレが面白いワケ
❖ちょっと寄り道 ネットの限界
遊びは知ることであると考えるとすべての遊びは純粋な学びの場になる