書籍

芸術・芸能
オリンピアと嘆きの天使 ヒトラーと映画女優たち
著者  中川 右介
発売日:2015年12月12日
配信日:2016年2月12日
ISBN:978-4-620-32346-6
判型:四六判
頁数:336頁
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書影:オリンピアと嘆きの天使  ヒトラーと映画女優たち
定価:1650円(税込)
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祖国を離れて、闘った女。
栄光を得て、全てを喪った女。
ディートリッヒ、リーフェンシュタール、原節子、ヘップバーン。
才能と運命に翻弄された女たちの物語――。


ともにベルリン芸能界で活躍、1930年代にスターダムへと駆け上がった二人の女優、マルレーネ・ディートリッヒとレニ・リーフェンシュタール。
1933年、ハリウッドで成功したディートリッヒは、ドイツへ向かう船上でヒトラーの演説を聞き、違和感をおぼえ帰国をとりやめる。やがて第二次世界大戦が勃発すると、米国籍を持つ連合国兵士として従軍。戦後、ドイツ保守層からは「裏切り者」扱いされ、二度とドイツで暮らすことはないまま、国際的名声を得た。

一方、リーフェンシュタールはナチス政権下で女優から監督に転身。ナチス美学を体現するプロパガンダ映画を撮り、世界中から批判を受けたが、その美的センスは後世の映画作家たちに多大な影響を与える。戦後はすべての名誉を奪われたまま、それでもドイツで暮らし続けた。
二人と親子ほど歳の離れたオードリー・ヘップバーンは1959年、ダブリンで20年ぶりに父親と再会する。彼女の両親はかつて英国のファシズム運動に参加し、ナチスシンパとしてヒトラーと面会も果たしていた。両親の過去に秘密を持つ彼女もまた、ナチスによって人生を変えられた一人だった。
そして、戦後民主主義の象徴ともいえる女優・原節子は、42歳の若さで映画界を去り、公式の場からも姿を消す。17歳の彼女がヒトラー政権下のドイツに渡ったのが1937年。初の日独合作映画『新しき土』のキャンペーンのためだった。この映画の監督アルノルト・ファンクこそが、リーフェンシュタールの監督の才を見抜き、彼女をナチス美学のスターへと仕立て上げた張本人だった。
国家とは何か。祖国とは何か。
芸術家や文化人は、国家権力とどのようにつきあうべきなのか。
いまや私たちにとっても切実なテーマを、4人の女性の歩みとともに描き出す。

著者について

中川 右介

なかがわ ゆうすけ/1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社IPCの編集長として写真集を中心に美術書を編集、ソ連の出版社とも提携した。後、出版社アルファベータを設立し、代表取締役編集長に(2014年まで)。ドイツ、アメリカ等の出版社と提携し音楽家や文学者の評伝や写真集を編集・出版。クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどの分野で旺盛な執筆活動を続ける。おもな著書に『カラヤンとフルトヴェングラー』『第九』『昭和45年11月25日』(以上、幻冬舎新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『山口百恵』『松田聖子と中森明菜』(以上、朝日文庫)、『角川映画1976―1986』(KADOKAWA)、『大女優物語―オードリー、マリリン、リズ』(新潮新書)などがある。

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