世界経済はいま、中国経済の減速傾向ははっきりしてきたなかで、米国は逆に利上げに踏み切ろうとしている。これによる悪影響は、資源国やアジアを中心とする新興国にはっきりと表れている。中国の鉄鋼や石炭の需要が減少することで、資源価格が下落。ブラジルやオーストリアなど資源輸出国が影響を受けている。また新興国の中国向け輸出は減少して経済成長率が鈍化。この状態が続けば資源国、新興国に経済危機が発生しかねない。この危機はやがて世界不況に発展するリスクもはらんでいる。
本書は週刊エコノミスト2015年10月13日号で掲載された特集「中国大減速 資源国・アジア危機」の記事を電子書籍にしたものです。
目 次:
はじめに
・深刻な資源国・新興国、世界不況の予兆か
・新興国 通貨・景気の危険度 国内民間債務が新たなリスク
・中国の金融政策 さらなる人民元安の可能性
・アジア通貨危機の再来はあるか 「血濡れのバーツ」の記憶と対策
・ブラジル 世界大恐慌以来の長期的低迷 無策がもたらす負の連鎖
・トルコ 通貨大幅下落、経常赤字... 構造的ジレンマ抱える
・オーストラリア 鉄鉱石、原料炭急落で24年ぶりのリセッションか
・インドネシア 消費・投資低迷で景気回復遅れ 歯止めかからないルピア安
・南アフリカ GDPはマイナス成長 ランド下落で追加利上げも
・ロシア 対中国ガス輸出の空転で八方ふさがりのプーチン政権
・タイ 消費・輸出ともに低迷 「中所得国のワナ」も障壁
・韓国 過度の輸出依存体質 中国低迷に無防備
・厳しい新興国向け投資信託 ブラジル・レアル建て大苦戦