原油価格が低迷し、サウジアラビアやクウェートなど中東諸国の政府系投資ファンドが、日本企業株を売却している。資金は本国の財政赤字の穴埋めに使われ、株式市場から逃げ出したオイルマネーはすぐに戻りそうもない。
資源安と新興国の先行き不安、中国経済の減速は金融市場の混乱と共振し、乱高下を招く構造を世界地図で詳細に分析した。
本書は週刊エコノミスト2016年1月18日号で掲載された特集「地図でわかった原油恐慌」の記事を電子書籍にしたものです。
目 次:
はじめに
・原油安発の世界マネー変調 オイルマネー逆流でリスク回避
・サウジアラビア 原油生産と財政破綻のチキンレース
・イラン 制裁解除で供給過剰の主役に
・インタビュー 寺島実郎・日本総合研究所理事長「金融市場を襲う負の連鎖」
・経常収支 資源国から輸入国へ富の大移転
・中国 石油製品輸出で原油市況圧迫
・中国 供給過剰で鋼材輸出止まらず
・インタビュー ジャレド・ダイアモンド「原油採掘の高負荷化が招く資源枯渇は脅威」
・資源・エネルギー企業 原油安・資源安で破綻危機
・シェール企業 4月の資金繰りがヤマ場
・米国・カナダ 北米に新たな地政学リスク
・ブラジル 膨らむ隠れ借金で財政底なし沼
・今年の原油平均価格見通し
供給過剰の解消で上昇基調
下振れリスクを抱えた原油安相場
世界経済の不安で、下振れ懸念