デフレからの脱却を掲げる日本銀行の黒田東彦総裁の「量的・質的金融緩和」は、2016年4月で4年目に突入した。その目的は、物価目標2%を達成することだが、いまだに実現できていない。
なぜ物価は2%に上昇しないのか――。本書では、この「異次元緩和の3年間」を多角的に検証した。また、7人の識者が黒田日銀を採点。伊藤隆敏コロンビア大学教授の100点から、浜矩子同志社大学教授の0点まで、その評価は大きく分かれた。
本書は週刊エコノミスト2016年4月19日号で掲載された特集「検証なき日銀」の記事を電子書籍にしたものです。
目 次:
はじめに
第一部
・金融緩和でも円高・株安の逆流 波及経路と成果の検証不可避
・物価2%の波及経路 金利低下・円安には不十分
・合理的期待形成の罠 日銀の公約が届かない三つの理由
・円安効果 貿易赤字と米金融正常化が追い風
・量的緩和の弊害
・国債と社債の価格決定が機能不全に
・長期国債依存は財政規律を緩める
・マイナス金利の副作用
・QQEで国債バブルを醸成
・マイナス金利の効果Q&A
・日銀匿名座談会「企画局ファッショ」に反感
・Q&Aで学ぶ 意外と知らない日銀の量的緩和とマイナス金利
・アベノミクスの落とし穴 経済停滞で雇用増の「異常」
・日銀緩和策の死角 潜在成長率はマイナスの可能性
第二部
・日銀の異次元緩和を採点
・コストプッシュ型値上げラッシュ
・インタビュー 阿部 豊太郎 丸美屋食品工業社長
【執筆者】
後藤逸郎、谷口健、藤沢壮、
細野薫、川越敏司、武田紀久子、
徳島勝幸、竹田陽介、翁邦雄、
清水誠、米倉茂、服部茂幸、
大山剛、週刊エコノミスト編集部