「女性にとって世界最悪の場所」
――私はどうしてもこの国に行きたかった。
イスラム主義組織タリバンによる再支配後の社会を
南アジア特派員として3年間にわたり取材した
気鋭のジャーナリストが描く、いま
最も切実なアフガニスタンの記録。
学ぶことが禁じられた国で――善悪だけでは語れない、女性たちが生きる現実
アフガニスタン――正式名称、アフガニスタン・イスラム共和国。イスラム主義組織タリバンが再び実権を握り、女性の権利を厳しく制限するこの国は、「女性にとって世界で最悪の場所」とも呼ばれている。
イランやパキスタンなど6カ国に囲まれた、海のない乾いた山国。かつてシルクロードの中継地、東西文化が交わる「文明の十字路」として栄華を極めた。しかし1979年のソ連侵攻以降、戦争と内戦が絶えず、美しい街や文化財は破壊され、人々の暮らしは荒廃した。2001年にはアメリカがタリバン政権を排除すべく軍を派遣。その後20年にわたり軍事作戦が続いた。日本を含む外国からの支援で、一時は学校や医療施設が整備された時期もあった。しかし、紛争の火種が消えることはなく、人々の生活に深い傷跡が刻まれ続けた。
2021年、バイデン米政権のアフガニスタン撤退に伴い、タリバンが再び権力を掌握。女性や子どもたちの自由は剥奪され、暮らしは困窮を極めている。
タリバン暫定政権下のアフガニスタンで、何が起きているのか。世界が目をそらしがちなこの国で、女性たちはいま、何を思い、どう生きているのか――。
本書は、南アジア特派員として2025年3月まで3年間現地に駐在した著者が、アフガニスタンの現在地を徹底した取材に基づき克明に描き出す。
目次
第1章 秘密学校の少女たち
――教育の権利を奪われても、希望の光は消えない
第2章 狙われた学びの場
――恐怖と隣り合わせの中、教育を求める少女たち
第3章 きしむタリバン支配
――顕在化する内部対立、振り回される市民
第4章 安息の地を求めて
――国境を越えて逃れる人々、そこで直面する新たな壁
第5章 タリバンに未来はあるか
――閉ざされた社会にあっても、女性たちは前に進む
著者について
かわかみ・たまみ
毎日新聞記者。1986年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2008年に入社。宮崎支局、福岡報道部(現社会部西部グループ)、東京社会部(現社会部東京グループ)、外信部を経て、2022年から2025年までニューデリー支局長として、アフガニスタンやパキスタンなど南アジア8カ国を担当した。現在は、デジタル報道グループ所属。東京社会部時代に取材班のメンバーとして取り組んだ企画「特権を問う~日米地位協定60年」は第26回(2021年度)新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞した。共著に『特権を問う ドキュメント・日米地位協定』(毎日新聞出版)など。