「女性にとって世界最悪の場所」
――私はどうしてもこの国に行きたかった。
イスラム主義組織タリバンによる再支配後の社会を
南アジア特派員として3年間にわたり取材した
気鋭のジャーナリストが描く、いま
最も切実なアフガニスタンの記録。
学ぶことが禁じられた国で――
善悪だけでは語れない、女性たちが生きる現実。
2021年に駐留米軍が去り、イスラム主義組織タリバンが実権を握るアフガニスタンは、「女性にとって世界で最悪の場所」とも呼ばれている。国際社会から見放されたこの国で、何が起きているのか。
イランやパキスタンなど6カ国に囲まれた、海のない乾いた山国。19~20世紀初頭にかけて英国が、1979~1989年にソ連が軍事侵攻したが、いずれも介入は失敗に終わり、「帝国の墓場」の異名をとる。
2001年には米同時多発テロの報復として米軍が侵攻し、約2カ月で当時のタリバン政権を打倒。日本や欧米諸国は、この国の平和構築と民主化を支援したが、2021年にバイデン米政権が米軍を撤退させると、タリバンが再び実権を握った。タリバン暫定政権が国際社会から孤立する中、市民の暮らしは困窮を極め、女性たちの自由は奪われている。
20年にわたる戦争は、この国と国際社会に何をもたらしたのか。世界が目をそらそうとするこの国で、女性たちはいま、何を思い、どう生きているのか――。
2022年から2025年まで南アジア特派員を務めた著者が、アフガニスタンの現在地を徹底した取材に基づき克明に描き出す。
目次
第1章 秘密学校の少女たち
――教育の権利を奪われても、希望の光は消えない
第2章 狙われた学びの場
――恐怖と隣り合わせの中、教育を求める少女たち
第3章 きしむタリバン支配
――顕在化する内部対立、振り回される市民
第4章 安息の地を求めて
――国境を越えて逃れる人々、そこで直面する新たな壁
第5章 タリバンに未来はあるか
――閉ざされた社会にあっても、女性たちは前に進む
著者について
かわかみ・たまみ
毎日新聞記者。1986年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2008年に入社。宮崎支局、福岡報道部(現社会部西部グループ)、東京社会部(現社会部東京グループ)、外信部を経て、2022年から2025年までニューデリー支局長として、アフガニスタンやパキスタンなど南アジア8カ国を担当した。現在は、デジタル報道グループ所属。東京社会部時代に取材班のメンバーとして取り組んだ企画「特権を問う~日米地位協定60年」は第26回(2021年度)新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞した。共著に『特権を問う ドキュメント・日米地位協定』(毎日新聞出版)など。