癒着、しがらみ、集団幻想、忖度、同調圧力...
情報漏洩は、なぜなくならないのか?
日本の国際競争力の低下が深刻化して久しいが、その原因は日本企業にはびこっている談合体質と官の腐敗といえる。
ムラ社会のしきたりが根強く、「和をもって貴しとなす」文化のこの国では集団幻想や同調圧力が強い。ビジネスの世界も、旧通産省などの指導により、現状維持を基本とする護送船団方式が徹底されてきたことから、「官の指導に従う」「業界秩序を守る」という意識がいまだに支配的で、真剣勝負の競争は疎まれ、「必要悪」としての談合がはびこってきた。
こうした談合は土木建設以外のあらゆる業界ではびこっている。本書巻末の「最近20年の主な談合事件350」に見るように、電力、医薬品、学生服、各種制服、修学旅行、パソコン、消防救急無線、ビル警備、システム開発、タクシー料金、ヘリコプター、測量業務、航空測量、園芸ハウスなど枚挙にいとまがなく、談合と無縁の業界を捜す方が難しい。競争を忌避してきた企業や業界の競争力が落ちていくのは必定であり、今日の日本の国際競争力低下は必然であった。本書は最近の主な談合事件のポイントを押さえ、約30件の官製談合事件の調査報告書の内容を詳述することで、民と官の危機的な状況を伝える。
知られているようで知られてない、税金かすめ取りの実態とは?
●著者略歴●
梶原一義(かじはら・かずよし)
1953年生まれ。北九州市若松区出身。早稲田大学商学部を卒業後、ダイヤモンド社に入社。『週刊ダイヤモンド』記者としてマクロ経済や中小企
業、総合商社、化学、医薬品、窯業などを担当。以後、各種経営情報誌や単行本などの編集に従事。著書に『税金格差』(インプレス)。
目次
第1章 談合が当たり前だった時代
第2章 入札改革や法整備も効かなかった
第3章 なぜ談合がなくならないのか
第4章 コンプライアンスの欠如と組織の欠陥
第5章 男性社会特有の犯罪
第6章 新型談合が生活を直撃する