書籍

社会・政治・歴史
電子書籍
アジアからみるコロナと世界 我々は分断されたのか
著者  日下部 尚徳、本多 倫彬、小林 周、髙橋 亜友子
発売日:2022年5月30日
配信日:2022年5月30日
ISBN:978-4-620-55003-9
判型:四六判
頁数:272頁
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書影:アジアからみるコロナと世界 我々は分断されたのか
定価:1980円(税込)
電子書籍版定価:1980円(税込)
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アジアのリアリティから導き出される、国際秩序を考えるための新たな視点とは?

第一線で活躍する研究者が、日本を含めたアジア諸国の新型コロナ対策やコロナ禍における社会の変化への鋭い分析を通して、
激動する国際政治の姿と、そのなかでの日本の姿を明らかにする。


日本国内では、SDGs(持続可能な開発目標)が話題となってきた。
SDGsの描く「誰も取り残さない」世界が、ほかならぬ「取り残されているかのように見える」人々自身によって支えられている様相を紐解き、
欧米中心に国際政治を見るレンズに偏った視点により、視野に入ることが困難になっていた国際政治の姿と、
そこに焦点を当てるためのもう一つのレンズを提示する。

リアリズムに偏る世界の中で、日本をリアルに考える上で必携の一冊。

【編著者紹介】
日下部尚徳
  立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。
  専門は国際協力論、開発社会学、南アジア地域研究。

本多 倫彬
  キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、中京大学教養教育研究院准教授。
  専門は、国際協力政策、政策過程論、平和構築論、国際安全保障。
  
小林  周
  米・戦略国際問題研究所、日本エネルギー経済研究所主任研究員などを歴任。
  専門は国際政治、国際安全保障、中東・北アフリカ現代政治。

髙橋亜友子
  笹川平和財団アジア・イスラム事業グループ研究員。
  南アジア、中東、東アフリカにて、政府開発援助、難民・帰還民支援など
  実務経験を経て現職。

目次

第1章 分断に向き合うパンデミック下のアジア

    (日下部尚徳、本多倫彬、小林周、髙橋亜友子)

1.分断に向き合うパンデミック下の世界

2.国際政治を見る二つのレンズの必要性

3.二つのレンズのピント調整

    「冷ややかなアジア」の視点 

    「したたかなアジア」の視点 

    「脆弱なアジア」の視点 

4.アジアが描く新型コロナと世界



第2章 Unmasked World ─加速する権威主義と自由主義の分断?─

    (小林周、志田淳二郎、中村長史) 

 はじめに─本章の位置付けと視点─ 

1.“Unmasked World” ─激化する米中対立─ 

    コロナ禍における国際秩序をめぐる議論 

    コロナ禍が「リベラル国際秩序の危機」を引き起こしたのか? 

    リベラル国際秩序の「周辺・末端」への視点としての中東欧の動揺 

2.国際強調なき新型コロナ対応の理論的検討─夢物語に終わった「パックス・コロナ」─ 

    「積極的協調」なき新型コロナ対応 

    「消極的協調」さえも果たされない新型コロナ対応 

3.国際強調なき新型コロナ対応の様相の実践的検討 

    エコノミック・ステイトクラフト、そして経済安全保障 

    アリーナとしての中東欧とNATO 

    中東諸国によるESの実相 

 おわりに 





第3章 眼前のアジア─各国はどのようにパンデミックに向き合ったのか─ 

 Asia under Pandemic ─新型コロナ・パンデミックに向き合ったアジア─ 

◆バングラデシュ─グローバル経済を末端で支える人びと─ (日下部尚徳)  

1.成長と貧困のバングラデシュ 

2.感染症対策─自宅待機「要請」と検査の拡充─ 

3.及び腰の経済政策 

4.コロナに関する厳しい情報統制 

5.ロックダウンが貧困層に与えた影響 

6.教育機関閉鎖がもたらす次世代の教育・経済格差 

    教育からのドロップアウト 

    児童労働の増加 

    児童婚の増加 

7.コロナ禍の経済 

    コロナショックで明らかになったグローバル経済の底辺 

    持ち直したアパレル産業と改善しない従業員の安全 

8.日本への示唆─グローバル経済の歪み─ 

9.小国バングラデシュをめぐる印中間のワクチン外交 

    ワクチンとイリシュ 

    印中間で揺れるワクチン外交の行方 

    ワクチンをめぐるしたたかな全方位外交 



◆フィリピン─共助から公助へ─ (木場紗綾)  

1.はじめに 

    フィリピンのイメージ

    本稿の論点─2つの変化─ 

2.従来のフィリピン─弱い公助と強いNGO業界─ 

    弱い国家、強い社会 

    過度なNGO依存 

    NGO業界が生まれた経済的要因 

    民主化後のNGOのエリート化 

    NGO業界の政治的影響力 

3.共助から公助へ 

    「資源」への高い関心 

    スムーズだった省庁間調整 

    行政による補償への高い評価 

    NGO依存からの軌道修正? 

4.受け手から見たワクチン外交 

    「豪気なフィリピン」という虚像の瓦解 

    セルフ・プロモーションを使い分ける 

5.おわりに 



◆韓国─危機の克服を成長戦略へ─ (冨樫あゆみ)  

 はじめに 

1.「模範的」とされた新型コロナ政策 

    宗教施設を発端とする感染拡大 

    中央集権的な指揮系統 

    国家レベルでの感染症対策─「K防疫システム」の構築─ 

    市民への要請─「社会的距離確保」政策─ 

    補償 

2.民主制と強権性─市民による「自発的な協力」と違反者への厳罰化─ 

3.防疫支援外交を展開する韓国 

    経済成長戦略としての「K防疫」

    防疫支援外交の展開 

 おわりに─日本への示唆─ 



◆マレーシア─新型コロナによって延命し、そして辞任した首相─ (伊賀司)  

 はじめに 

1.マレーシアの2020年のコロナの感染状況とその対応 

    2020年3月の活動制限令発令の背景 

    顕在化しないまま進んだ権力集中とデジタル化 

    経済対策とムヒディン政権への国民の支持 

    選挙を通じて拡大した第3波 

2.新型コロナによる延命と辞任 

    新型コロナによって延命したムヒディン政権 

    国民の不安を鎮められなかった首相の辞任 

3.東南アジアからみる中国の「ワクチン外交」 

 おわりに 



◆インド─対新型コロナウイルス政策の目標と現実─ (三輪博樹)  

 はじめに 

1.新型コロナウイルスの感染拡大と社会的・経済的な問題 

    インドにおける感染状況 

    コロナ禍が浮き彫りにした社会的・経済的な問題 

2.新型コロナウイルスをめぐる中央政府の政策と人々の評価 

    経済対策とワクチン接種 

    中央政府に対する人々の評価 

3.新型コロナウイルスとインド外交 

    ワクチン外交 

    日米豪印4カ国枠組みとの関わり 

    インドにおける感染爆発の影響 

 おわりに 



第4章  アジアから学ぶ日本の新型コロナ対応─私たちは何に向き合ってきたのか─

    (本多倫彬、小林周、日下部尚徳、髙橋亜友子) 

 はじめに 

1.日本の初動対応 

    新型コロナ対応の「失敗」と政権交代 

    積極的疫学調査のはじまりと国際社会から見た日本 

    クラスター対策を中核とする新型コロナ対応の確立 

    自治体首長主導の試みのはじまり 

    外出自粛要請とクラスター対策 

    「日本モデル」の確立 

2.「日本モデル」の綻び 

    国民の犠牲を許容しつつ国民の協力を呼びかける発信の不調和 

    「検査と感染者の把握」方針の不調和 

    対策の科学的根拠確保のための専門家選出の不調和 

    医療提供体制の不調和 

    事業活動・雇用維持対策の不調和 

3.日本外交が目指したもの 

    対外政策の概要─新型コロナ対応と経済安全保障─ 

    米中対立の狭間で 

    国際秩序の維持への貢献 

    途絶した国際協力 

4.アジアの取り組みから見る日本の新型コロナ対応 

    医療・公衆衛生分野の対策 

    経済分野の対策 

    対外政策 

    おわりに─高すぎた期待ゆえの「失敗」─ 



第5章 見落とされてきたもう一つのリアリティ

    (本多倫彬、日下部尚徳、小林周、髙橋亜友子) 

1.我々は分断されたのか? 

2.アジアの姿から見えるコロナ禍の国際政治 

3.おわりに─むき出しの世界と繭状の国際秩序─



おわりに