愛しい人との別れと邂逅――。
人生の四季を巡る24の不思議な物語
夫の若き日の過ちに心を閉ざし、緑色の石の中に生きる妻を描いた「翡翠」、幼くして母を亡くした少年海太が見た絵の中の魔女の正体――(「春の闇」)、山間のせせらぎをたどって集める亡き人の置き土産(「秋出水」)ほか24篇。日本人の感性が凝縮された「季語」を縦糸、忘れられない人との邂逅を横糸に、幻想的に紡がれた珠玉の掌編集。
●解説:手塚マキ
目次
【新年】ほとほと/
【春】猫の恋/春の闇/エイプリルフール
【夏】翡翠/鳴神月/出目金
【秋】笹まつり/秋出水/月の舟/銀杏
【冬】牡蠣殻/寒椿
【春】夜の梅/小町忌/帰雁
【夏】竹落葉/紫陽花/滝壺
【秋】星月夜/虫時雨/栗の実/身に入む
【冬】寒苦鳥