〈死〉の果てを描いた異次元の衝撃。
人類究極の問いを突破する、白石文学の新たな代表作誕生!
89歳までの健康長寿を保証する世紀の発明"Timer"
"その日"が来たら、私の心と身体はいったいどこへ行くのか?
体内に装着したTimerの声に導かれ、余命わずかの老夫婦は、
人生究極の問いの答えを求め、禁断の地へ向かう――。
【あらすじ】
「どんなにかなしいことがあっても、本当にかなしむ必要はない。この世界に悲劇なんてものは存在しないんだから。」
89歳までの健康長寿を約束する夢の装置Timerを開発し、失踪したサカモト博士が残したメッセージにはどんな意味があったのか?
装着したTimerの消滅日=死を目前に、カヤコは突然、「博士を捜し出し、Timerの秘密が知りたい」と言い出した。その時限設定を解除した者は不老不死になるという噂もある。彼女の真意は不明だが僕は同行を決めた。
年老いて夫婦二人きりになった今、カヤコの死は、僕の死だった。
【もくじ】
記憶のベンチ
ふたりの自分
進化の怪物
ほどけていく夢
ほんとうに親しい者の死
幻視
孤立型年金生活世帯
「外し屋」と「死なせ屋」
不老不死の噂
同化
〝外し屋捜し〟
新しい領域のエネルギー
カヤコの存念
永遠のいのち
マレ、ミレ、ニレ、アレ
ミラクル・ベイブ
怒りと絶望の光
体内時空連続体変異
白壁五丁目
言葉の綾
ヒロコの死
奇妙な紙袋
不買運動
揺れるゴンドラ
マゴメトシミツの独白
求めよ、さらば与えられん
「この僕」
ヘンな流れ
「爆心地ゼロ」へ
焚き火
デルス・ウザーラ
パリは、パリになる