『永遠の仔』『悼む人』を超える、新たな"世界"の誕生。
激動の幕末の伊予松山藩。
戦を厭う娘ヒスイ、医の道で人を助ける救吉、若き武士辰之進。
霊泉の湧く故郷を守るため、若者たちが立ち上がる!
文久2(1862)年。舞台は、260年間続いた江戸幕府がいま、まさに消えようとする頃の伊予松山藩(愛媛県)。代々続くおへんろ宿「さぎのや」で育てられた娘ヒスイと弟の救吉は、危機一髪の場面を救われたことをきっかけに、年少の藩士、青海辰之進と知り合う。医術で人を救うべく精進する救吉に、ある日郷足軽隊の調練に医師見習いとして同行せよと命が下る。誰よりも戦を厭い、平和を願うヒスイは、やがて救吉が真の戦に送られることは必定とみて、男装して弟に同道することを決意する。