男はなぜ闘うのか? 私は何と闘うのか?
ひとりのジャーナリストが、
身をもって経験した 「男らしさ」の意味。
......トランスジェンダーの物語は(略)たいてい、こんな幸せの象徴とともに締めくくられる。主人公の男女は、肉体的な変化を通して、「ついに本当の自分になりました」。いい話ではあるし、実際にそういった面もあるのだろう。(略)けれど私の物語はそこでは終わらない。終着点は、まだはるか遠くにある。
私は30歳で転身を果たした「男の初心者」で、私の体は人間という存在の真実を明かしている。(略)けれど自分の体になじめばなじむほど、その持ち主として期待されることへの居心地の悪さは深まった。(略)なぜ、男は闘うのか? 本書は、その答えを見つけるまでの物語だ。(本文より)
著者紹介
トーマス・ページ・マクビー
ジャーナリスト。ウェブマガジン「クォーツ」編集部を経て、LGBTQ に関するウェブマガジン「ゼム」編集部に。著書『Man Alive』でラムダ賞受賞。本書はベイリー・ギフォード賞、ウェルカム賞にノミネートされる。本書の取材で、マディソン・スクウェア・ガーデンで行われたボクシングのマッチで闘った最初のトランスジェンダーの男性となる。これまで「ニューヨーク・タイムズ」紙や「プレイボーイ」誌などに寄稿。現在、ニューヨーク市立大学大学院でジャーナリズムの講座を持ち、放送作家としても活躍している。
訳者紹介
小林玲子
こばやし れいこ/1984年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。早稲田大学大学院英文学修士。主な訳書に『ユリシーズを燃やせ』(柏書房)『世界一おもしろい国旗の本』(河出書房新社)『子どもには聞かせられない動物のひみつ』(青土社)『大人になるまえに知っておきたいお金のこと』(ひさかたチャイルド)などがある。