ラップを聴けば、〈時代〉が見える。
画期的ラップ・ミュージック概論、登場。
アメリカ事情に精通する大和田俊之、長年ラップの現場に身を置いてきた磯部涼、批評家とラッパー/ビートメイカーを往復する吉田雅史。 三人のラップ論者が、日米のラップの変遷を語りつくす!
ヒップホップ・カルチャーの歴史を縦軸に、「トランプ後の世界」と「日本語ラップ」の現状認識を横軸に、ラップの潮流を通して、私たちの社会をもマッピングする一冊。
目次
■はじめに 吉田雅史
■第一章 ラップはいまを映しているか
ラップの定義について/ヒップホップ史の書き換え/BLMのアンセム「Alright」/チャンス・ザ・ラッパー発言に見る非政治化/トラップ・シーンの変化/酩酊感の正体/大統領選との距離/予想を裏切るトランプ/「Bad and Boujee」は反動なのか/デモとラップ/シカゴの時代
■第二章 USラップが映してきたもの
政治性を求めるのは誰か/『ストレイト・アウタ・コンプトン』の歴史操作/KRS・ワンのヒップホップ道/「The Message」再考/ゲームの始まり/ギャングスタ・ラップの二重性/ポスト・ソウル世代の政治感覚/宗教と陰謀論/女性ラッパーの系譜/エミネムとホワイト・トラッシュ/女性物を着るラッパーたち
■第三章 日本にラップが根づくまで
オーセンティシティとオリジナリティ/佐々木士郎(宇多丸)の危惧/ハードコア・ラップが右傾化した理由/『空からの力』という教科書/社会問題に対するメタとベタ/ポリティカル・ラップとしてのMSC/顕在化する地域性/方言に根ざしたビート/フリースタイル・ブームの行方/ダンス・ミュージックへの回帰/「It G Ma」ブレイクの意味/アメリカの影と向き合う
■あとがき 磯部涼、大和田俊之
■註釈