昨年大晦日(おおみそか)の「第72回NHK紅白歌合戦」が平均視聴率34・3%と歴代最低を記録。音楽関係者から「テレビ東京の『年忘れにっぽんの歌』のほうが紅白らしい。見習え」という声が上がっている。
「NHKは受信料支払者獲得のために高齢者を無視して、若者に媚(こ)びた出場者選考をした結果、紅白は失敗に終わった」(音楽ライター)
昨年は民放で11年連続トップだった日本テレビ系の特番「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」が休止になったために紅白の独り勝ちと見られていたが、蓋(ふた)を開けてみれば、過去最低の視聴率。裏番組の「年忘れにっぽんの歌」は前年より、0・9ポイントアップの8・3%と善戦した。
「『年忘れ』の出場歌手は演歌、歌謡曲系の歌手ばかり。しかも、去年、紅白を〝卒業〟した五木ひろしをはじめ、紅白出場経験者がずらり。しかも、84歳の加山雄三の完全復帰が視聴者を感動させました」(ベテランの音楽プロデューサー)
〝永遠の若大将〟の異名を取る加山は昨年8月に誤嚥(ごえん)から小脳出血を発症して、緊急入院。一命はとりとめたが言語に障害を残した。
「『年忘れ』に出場した加山は話す際にろれつが回らない部分があって周囲を心配させましたが、歌になると完璧で『お嫁においで』などのヒット曲をメドレーで熱唱。完全復活を印象づけました」(テレ東関係者)
その他、千昌夫や渋い演歌の大川栄策。76歳になっても明るいスマイルを絶やさない三沢あけみや、70歳になる山本リンダなどが視聴者を惹(ひ)きつけた。
「これまで、紅白を支えてきた高年齢者の間では思い出の青春の一ページとして、昭和演歌や昭和フォークがブームになっている。その歌が聴けなければ紅白は見ません」(元紅白スタッフ)
NHKよ、紅白を使って若者からの受信料を狙うという姑息(こそく)な策を弄(ろう)さず、〝本当の視聴者〟を重視してはいかがか。
(本多圭)