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2021年11月14日号
スポーツ 元「ビジュアル系」の徳本監督率いる駿河台大が初の箱根へ
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 駅伝ファンなら20年ほど前、茶髪とサングラス姿で箱根路を疾走していた「ビジュアル系ランナー」を覚えているのではないだろうか。法政大のエースだった徳本一善(かずよし)(42)だが、今度は監督として箱根駅伝に戻ってくる。

 第98回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)の予選会が10月23日、東京・陸上自衛隊立川駐屯地周回コース(21・0975㌔)で関東の41校が参加して行われた。上位10校に出場権が与えられるが、今年の主役は8位に食い込み、悲願の本大会初出場を決めた駿河台大だった。

 個性的な監督が、個性的なチームを引っ張ってきた。就任10年目で初めて予選会を突破した徳本監督は「長いようで短かった。我慢してやり続けてよかった」と喜んだ。

 法政大では1999年から4年連続で箱根駅伝に出場し、1年は1区で区間10位、2年は1区で区間賞、3年は「花の2区」で区間2位と好走を続け「爆走王」の異名も付いた。だが、エースとして2区を走った4年時は右足肉離れで無念の途中棄権。天国と地獄を味わった箱根でもあった。

 2012年から駿河台大の監督を務めているが、「箱根なんかとんでもない。酒やたばこ、パチンコ、飲み会......漫画のような世界だった」と振り返る。パチンコを週3回から1回に減らさせるところから始まり、「エリート育ち」だった徳本には考えられない生活指導が続いた。学生とともに寮で暮らし、理論的な練習やメンタル強化など、我慢強く力をつけていった。

 予選会で19年は12位、昨年は15位という悔しさも糧に、実績がある拓殖大などが出場権を逃す中で踏ん張った。選手と監督の間に立って精神的支柱となったのが、31歳の今井隆生(4年)だ。生徒の気持ちを知るため埼玉県の中学教員を休職して昨春、心理学部に編入した異色ランナー。タイムはチーム10番目だったが、粘って本戦出場に一役買った。こんな選手の存在も強みだろう。

(水木圭)

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