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2021年11月 7日号
スポーツ 燃え尽きた「平成の怪物」松坂 最速118㌔でプロ人生に幕
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 直球5球を投げて最速が118㌔、一つのストライクを取るのがやっとの四球。これが「平成の怪物」の現役最後のマウンドだった。

 今季限りでの引退を表明していた西武の松坂大輔投手(41)が10月19日、メットライフドームで行われた日本ハムとの引退試合に臨んだ。日米23年間に及ぶプロ生活の締めくくりとして西武入団時の背番号「18」を背負って先発した松坂は、右手のしびれや右肩の故障で「プロのマウンドに立てる状態ではなかった」「本当は投げたくなかったが、けじめをつけるために全部さらけ出して見てもらおうと思った」と話したが、試合後はすっきりした表情を見せた。

 横浜高時代は数々の名勝負を繰り広げ、1999年のプロ入り後も期待通りの活躍で新人王、最多勝、奪三振、防御率など多数のタイトルに輝いた。2006年オフにポスティングシステムでレッドソックスに移籍し、07年15勝、08年18勝とエースの働きを見せた。しかし、同年に右肩を痛めてからは完治せず。15年にソフトバンクで日本球界復帰後も中日、西武と渡り歩いたが、最後まで本来の投球ができずに燃え尽きた。

 それでも「怪物」と呼ばれ続けたのは、全盛期の剛腕がいつまでもファンの脳裏に焼き付いていたからだ。伝説となっているのが、春夏連覇を目指した1998年夏の甲子園。準々決勝のPL学園戦で延長十七回、250球を投げ抜いて勝利すると、決勝の京都成章戦でノーヒットノーランを達成する快挙を成し遂げた。国際舞台でも日本球界を代表する投手として五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で活躍した。

 先頭に立って引っ張ってきた「松坂世代」も、現役はソフトバンクの和田毅(つよし)投手だけとなった。松坂の野球に対する知識と豊富な経験は指導者向きだ。第2の人生をどんな形で踏み出すか。

(水木圭)

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