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2021年8月 8日号
社会 仏柔道代表チームが姫路で合宿 兵庫県と仏柔道界に浅からぬ縁
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 フランスの柔道五輪代表チームは兵庫県姫路市で事前合宿をした。7月17日の公開練習では、男子90㌔級のアクセル・クレルジェ、女子78㌔超級のロマヌ・ディッコら12人が組み手争い、軽い乱取りなどを披露していた。2016年のリオデジャネイロ五輪で男子100㌔超級の金メダルを取ったテディ・リネールは日程の調整がつかず、不参加だった。

 フランス人はHの発音が苦手な人が多い。話を聞いた選手は皆、姫路を「イメジ」と発言した。しかし、フランス柔道と縁が深い同市出身の柔道家がいることはご存じだろうか。川石酒造之助(みきのすけ)(1899〜1969年)だ。川石は戦前、フランスに渡って柔道を普及させた「フランス柔道生みの親」なのだ。記者会見に現れた前出のクレルジェは「僕の父は川石先生の指導を受けたことがある」と感慨深げだった。

 選手団は感染防止の観点から、世界遺産の姫路城を含め、観光地に行かないよう要請を受けている。同市の職員は「姫路城がよく見えるホテルを選びました。厳しい規制をよく守ってくれています」と話す。

 柔道の競技人口が日本の3倍ほどと多いフランスでは、柔道指導者は全て国家試験を通った公務員だという。女子チームのラルビ・ベンブダウ監督は「新型コロナの影響で各地の柔道場が閉鎖せざるを得なくなり、競技人口が激減した」と心配していた。

 さて、男子柔道100㌔超級の日本代表は、リオ五輪の決勝でリネールに敗れた原沢久喜だ。2000年のシドニー五輪では、国際柔道連盟(IJF)も認めた誤審の結果、同じクラスの篠原信一がフランスのダビド・ドイエに金メダルを譲った悔しい歴史がある。

 篠原は神戸市育ち。「柔道の父」嘉納治五郎も同市出身だ。東京五輪は「フランスと兵庫県」の観点からも面白い。

(粟野仁雄)

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