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2022年2月20日号
北朝鮮 相次ぐミサイル発射の狙いは「米対話」での経済制裁緩和か
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 2022年に入り、北朝鮮が1月だけでミサイルを7回発射した。1月30日には4年2カ月ぶりに中距離弾道ミサイルを発射。こうなると、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射と核実験も行うかが注目されている。

 朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は年末の会議で、国防力強化を強く推進すると述べた。その目的は米国との対話だ。

 バイデン政権では米国への脅威となりうる核実験やICBMが発射されない限り、北朝鮮政策は優先順位が低いままだ。であれば、「強硬手段で一気に対話を誘い出す」という見方が出ている。北朝鮮は国防力向上を誇示しつつ米国と対話し、自国経済を苦しめる経済制裁の解除・緩和を引き出すことを、強く願っているためだ。

 一方、ICBM発射や核実験といった強硬策は、当面ないという見方が根強い。それは北京五輪・パラリンピックが開催中の3月中旬ごろまでは、中国に配慮し、過激なことはできないためだ。

 経済制裁とコロナ禍で経済活動が停滞する中、中国は北朝鮮にとって数少ない生命線だ。その中国が国家の威信をかけて行うイベントに泥を塗るようなことはしないと考えられる。また、中国側も強硬策を嫌っている。

 3月9日には韓国大統領選も控えている。北朝鮮にとっては、自らに融和的な文在寅(ムン・ジェイン)政権を引き継ぐと思われる与党候補の勝利が望ましい。だが、現状は与野党候補が拮抗(きっこう)あるいは野党候補が有利だ。

 そのため、文政権と首脳会談といったようなサプライズを行う可能性がある。韓国の有権者を刺激するような強硬姿勢は見せる可能性が低い。

 ただ、そういった〝イベント〟が終わると、どうなるのか。米国はかつてのオバマ政権同様、「戦略的忍耐」政策すなわち「相手にしない」という姿勢を崩していない。そんな米国の姿勢に、北朝鮮がどこまで我慢できるだろうか。

(浅川新介)

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