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2022年1月30日号
韓国 野党「後退」で大統領選に変化 〝中道〟安哲秀氏の去就が焦点
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 投開票日が3月9日に迫る韓国大統領選に向け、進歩(革新)系与党候補の李在明(イ・ジェミョン)氏と、保守系で最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の一騎打ちという構図に大きな変化が生じている。尹氏の支持率後退に、野党候補の統一という動きが出始めた。

 きっかけは尹氏の選挙対策本部が突然解散したことだ。これは尹氏のリーダーシップのなさが主因だが、国民の力代表の李俊錫(ジュンソク)氏、選対本部長で保守政界の重鎮である金鍾仁(キム・ジョンイン)氏の思惑も強すぎて、選対運営に支障をきたしたためだ。また、尹氏の義母と妻のスキャンダルも重なった。

 世論調査では、尹氏がやや優勢、あるいは尹・李両氏が拮抗(きっこう)という状況が続いていた。しかし、尹氏の後退で、政権奪還に向けた野党候補の一本化が焦点になってきた。

 その相手は、中道保守政党「国民の党」代表の安哲秀(アン・チョルス)候補だ。安氏はソウル大医学部を卒業した医師で、コンピューターウイルスの対策ソフトを開発して起業した経営者として有名だ。20、30歳代からの支持が強く、12、17年の大統領選にも出馬した。

 ただ、安氏は「初志貫徹できず、政治姿勢も実行力も弱い」という見方も強い。12年大統領選では現在の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との候補一本化で揉(も)め、最終的には出馬を辞退した。17年大統領選では得票数3位と振るわなかった。

 さらに21年ソウル市長選では、当選した呉世勲(オ・セフン)市長と候補一本化のための世論調査で大敗。ここでも呉氏との共闘に応じる形で出馬を辞退した。そのため、安氏は「肝心なところで優柔不断になって退くような人物が、大統領選をきちんと戦えるのか」という評価も根強いのだ。

 一方、李氏もスキャンダルにまみれ、立候補者としての品格に疑問を持たれたまま。これまでの大統領選候補者と比べると「小粒で関心がわかない」という声も強く聞こえてくる。

(浅川新介)

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