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2021年4月 4日号
米国 米国の児童・生徒4人に1人はオンライン授業に苦労している
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 米国の幼稚園と小中高校が対面授業を再開し始めた。3月15日付の米教育専門紙『エデュケーション・ウィーク』(電子版)によると、〈3月15日現在、少なくとも7州が対面授業を実施するよう命じている。一部の学年に限る州や対面授業の時間を制限する州もある〉。再開7州はテキサス州やフロリダ州などだ。

 一方、カリフォルニア州、デラウェア州、ハワイ州、プエルトリコ自治領、首都ワシントンでは対面授業が全面再開しておらず、イリノイ州やニューヨーク州など40州は対面授業に関する命令を出していないという。

 地理的な格差ばかりでなく、オンライン授業の利用勝手の格差もある。南部教育財団、ボストンコンサルティンググループなどが昨年12月にまとめたリポートによれば、インターネットの高速回線や電子教材が利用できないなどの理由でオンライン授業を十分に受けられない児童・生徒は最大1200万人に上るという。米教育省によれば、米国の幼稚園児と小中高生は5070万人。つまり、4人に1人が該当する可能性があるのだ。

 カリフォルニア州にある小学校のエレン・ゴダート教諭(59)によれば、オンライン授業には思わぬ弊害がある。

「以前は中南米系移民が多い学校にスペイン語通訳が配置され、児童を手助けしていました。ところが、オンライン授業になってから、州の対応が遅れたせいで通訳が付かなくなりました。英語ができない児童は授業を理解できなくなり、授業を受けないのです。これが最大の問題だと思います」

 バイデン大統領は3月11日、予算規模1・9兆㌦(約200兆円)の経済対策法案に署名し、成立した。法案にはオンライン授業を充実させるための予算70億㌦を盛り込んだ。しかし、遅きに失したのではないかという声もある。

(土方細秩子)

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