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2021年9月12日号
展覧 「特撮の父」が誕生するまで 生誕120年 円谷英二展開催
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「ゴジラ」や「ウルトラマン」シリーズなど、特撮映画という新ジャンルを切り開いた「特撮の父」円谷英二が、今年、生誕120年を迎える。

 円谷の足跡を、ポスターや貴重な資料などでたどる展覧会「生誕120年 円谷英二展」が、国立映画アーカイブ展示室(東京都中央区)で開催されている(入場料250円。11月23日まで)。

 1901(明治34)年7月7日、福島県須賀川町(現・須賀川市)に生まれた円谷は、飛行機に強い興味と憧れを持ち、パイロットを目指して上京するが、18歳のとき、運命的な出会いで映画界に入る。

「特撮」というイメージで語られることの多い円谷だが、カメラマンとして活動を開始した〝特撮以前〟の若い時代の業績にもスポットを当てたのが、今展覧会の大きな特徴。日本映画史の中における円谷像を、若い時期も含めた広い視点でとらえ直している。

 衣笠貞之助監督の下などで、カメラマンとして頭角を現してきた円谷は、アメリカ映画「キング・コング」に衝撃を受け、特撮の研究を開始。戦時下の作品で、日本映画界に特撮の意義を決定的に印象づけたものの、戦意高揚的な映画の特撮があだとなり、終戦後は不遇の時代を迎える。

 卓越した特撮の技量が再び開花したのは、54(昭和29)年の「ゴジラ」第1作。円谷53歳のとき。62歳になって、円谷特技プロダクション(現・円谷プロダクション)を設立し、68歳で亡くなるまで、「ウルトラQ」をはじめとするテレビの特撮番組という新たな路線を確立する。「特撮の父」のイメージが定着するのは、晩年になってからのことだったのである。

 9月4日、5日には、35(昭和10)年に円谷が撮影を手がけた音楽映画「かぐや姫」の上映会を予定している。日本で長らく失われていた作品の海外向け短縮版(36年)が、近年、イギリスで発見され、85年の時を経て里帰りしたものだ。詳細はホームページにて。(時田慎也)

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