サンデー毎日

社会
イチオシ
2020年8月30日号
コロナ後遺症はここまで怖い
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▼味覚・嗅覚の障害、倦怠感、息苦しさ、節々の痛み、頭痛...

▼要因は「サイトカインストーム」「血栓」「多臓器への影響」

▼芸人・ラジバンダリ西井「退院の3カ月後、右胸に激痛が」

生還した後に後遺症が残った。新型コロナウイルスに感染し、治った人がそう訴えるケースが増えている。菅義偉官房長官は8月6日、「厚生労働省が後遺症についての研究を今月から始める」と明らかにしたばかりだ。実体験した人や専門家の証言をお届けする。

「右胸が急に痛くなり、うずくまってしまうほどの痛みが何日かおきに襲ってくるんです」

そう訴えるのは、お笑い芸人のラジバンダリ西井さん(45)だ。4月下旬に退院してから3カ月以上たっても痛みが治まらないという。症状が出た4月3日を西井さんが振り返る。

「猛烈な倦怠(けんたい)感、それに関節の激痛と41度の高熱があり、『もう限界だ』と思って119番しました。深夜になって救急搬送されたんですが、病院側は『受け入れ準備が必要』と言い、鎮痛剤と解熱剤を手に帰宅しました。PCR(遺伝子)検査を受けられたのは3日後。公共交通機関は使えないから、高熱のまま自分で運転して検査に行きました」

8日に新型コロナの陽性判定を受けた。入院が決まり、集中治療室(ICU)に運ばれた。しばらくは薬が効いている様子はなく、体温は40度を超したまま。食事をしても吐いてしまった。「このまま意識がなくなって死ぬかも」と思うほど苦しかったという。入院は20日間に及んだ。

「小4から剣道を続けてきて、体力には自信がありました。医師や看護師から『体力のおかげで助かった』と言われました。退院してから2週間、自宅で待機しました。その間、立ちくらみ、めまい、1日に3〜4回キーンとくる耳鳴りがひどかった。退院して3週目からようやく薄れました」(西井さん)

その後、ウオーキングできるようになり、少しずつ体力が戻ってきた。「フィットネスジムにそろそろ通える」と思った矢先の7月末、冒頭に挙げたような痛みを感じるようになったという。

東京都に住む会社経営者の男性Nさん(30代後半)は、4月9日に退院してから約4カ月たったが、今も後遺症に苦しんでいる。

「両肩が痛くて上がらず、物を持つだけでもつらいんです。階段を上り下りするだけで、息絶え絶えになります。どうすればいいか教えてほしい」

Nさんは「コロナ闘病中」というハンドルネームを使い、「ツイッター」に症状を訴えている。フォロワー数は約7万3000人に上る。3月13日に友人8人と東京・麻布のクラブに行き、うち4人がコロナに感染したという。

「26日から朝のうちは平熱なのに、時間を追うにつれ39度まで上がるようになりました。嗅覚・味覚障害など、報道されている症状が全部出て、1週間近く40度の熱が下がらない。『脳細胞が壊れちゃうんじゃないか』って思うほどカッカッときて、浴槽にためた水に頭を突っ込んだりしました」(Nさん)

PCR検査を受け、陽性の結果が出たのは4月1日だった。すぐに入院し、コンピューター断層撮影(CT)検査をすると、両方の肺に白いモヤが多く映っていたという。肺炎だった。Nさんが入院当初の様子を振り返る。

「入院2日目に体温が下がったものの、シャワーを浴びると頭に湿疹が出ました。今でもたまに出るんです。入院生活は9日間。僕のツイートを見た人から、ダイレクトメッセージがたくさん届きました。みんな口々に後遺症を訴えていますね。『コロナは風邪みたいなもの』とか『若者は重症化しない』なんて言う人がいますが、よくそんなことが言えるなと思います」

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