対談詳細

艶もたけなわ
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南和行 弁護士/タレント

2019年8月 4日号

阿木燿子の艶もたけなわ/262

 同性カップルに法律上の婚姻関係や権利を認める、「同性婚」の実現を求める声が高まっています。南和行さんは、同性愛(ゲイ)を公表する弁護士。パートナーとともに法律事務所を共同運営し、LGBT関連の案件も多く手がけます。仕事場での日常から、現在手がける事件のことまで、幅広くお話し頂きました。

 ◇やはり男性は"俺は男だ"的な意識が抜けない人がいまだに多いですね。

 ◇日本の結婚制度自体に、もう少し余白というか、自由度があってもいいですよね。

 ◇結婚や離婚のシステムを、法律でガチガチに固めないほうが、少子化対策につながる。

阿木 南さんがお書きになった『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』を読ませて頂きました。ご本の中に、2011年に公私共にパートナーの吉田昌史さんと結婚式を挙げられたとありましたが、今はお二人で弁護士事務所を立ち上げていらっしゃるんですよね。

南 はい、お陰様で。念願が叶(かな)いました。

阿木 私、とても素敵(すてき)だなと思ったのは、南さんのお母様が事務所を手伝っていらっしゃることで。アットホームな感じがいいですね。お母様、おいくつですか?

南 昭和19年生まれなので、75歳です。

阿木 私とほぼ同年代。ご著書を拝読すると、お母様は南さんから「自分は同性愛者」だとカミングアウトされて、とても悩まれたとか。でも、それを乗り越えられて、今や、お二人の良き理解者でいらっしゃる。

南 実はこの1カ月くらい、母対僕とで、ちょっとギクシャクしているんです。

阿木 あら、何でですか?

南 実は、母は僕達の事務所で電話の取り継ぎとか、お客様の接待とかしてくれているんです。それが、こんなふうに僕達が表に出るチャンスが増えたことで、母にも単独で講演のオファーが来たんです。そうしたらもう、自分の原稿作りのほうに頭がいって、それにかかりっきりになってしまって。

阿木 お母様、張り切っていらっしゃるんですね。

南 僕からすると、いろいろ雑事が滞って困っているのに、母ときたら「アンタ達は私の原稿をちゃんと読んでくれない」とか聞こえよがしに言ったりするんですよ。

阿木 それって、何だか微笑(ほほえ)ましい(笑)。

南 で、僕が「そういう言い方は、ないでしょう」とか言うと逆切れするんです。僕としては事務所は職場なので、母には仕事をしてほしいんです。

阿木 あのー、同年の好(よしみ)で、私、お母様の味方をさせて頂いてもよろしいでしょうか?(笑)。

南 えッ? はい(笑)。

阿木 私、お母様の気持ちが少し分かる気がするんです。人間って、いくつになっても、人から必要とされるのは凄(すご)く嬉(うれ)しいことで、ましてや公の場で発言する機会を与えられるなんて、大変なことだと思うんです。それって、私達のような年になると、奇跡に近い。今までいろいろ苦労をかけた息子としては、恩返しのチャンスと捉えて、全面的に受け入れて差し上げてほしいなと。

南 「阿木燿子さんはお母さんの味方だよ」って母に言ったら喜ぶと思います。実は昨日、僕と同じ年ごろの友人に母のことを愚痴ったんです。そうしたら、やはり同世代はこちらの味方をしてくれました(笑)。でも、その時、僕、思ったんです。やはり僕が母を理解しなきゃって。こういう時、吉田は「南くんがお母さんと仲良くしいや」って言うんです。僕のほうが......ですよね。

阿木 そうですよ。南さん親子のほうが嫁と姑(しゅうとめ)みたいですよ。余計なお世話だとは思いますが、できれば、またとないチャンスなので、お母様の背中を押してあげてほしいんです。私、いくつになっても、人には生き甲斐(がい)が必要だと思うんです。お母様にしても、南さんという息子さんを持たれて、それなりの葛藤がおありになったことを、ご自分の言葉でお話しになりたいだろうし。それに、思えばそのこと自体、最高のサポートだと思いますし。だってLGBTって当人だけではなく、周囲にも大きな影響を与える問題ですよね?

南 阿木さんに優しく諭されると恐縮します(笑)。

阿木 ごめんなさい。偉そうに(笑)。多様化の時代と言われて久しいですが、今でもみんなと同じでないことに対する拒絶反応って、根強くありますよね。とくに性に関することだと、その傾向が著しい。南さんご自身、男性にしか興味がないことに気付かれたのは、いつなんですか?

南 僕は結構、早熟だったので、小学校4年くらいの時にはもう、そのことを考えていましたね。

阿木 自分は女の子より、男の子のほうを好きなのではないかと?

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