対談詳細

艶もたけなわ
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ジュディ・オング 歌手・女優・木版画家

2019年6月23日号

阿木燿子の艶もたけなわ/256 

 海外出身のタレントが日本で活躍するのは、今や珍しいことではなくなりました。そんな"国際派歌手"の先駆けが台湾出身のジュディ・オングさん。彼女の名を一躍世に知らしめたのは「魅せられて」でした。同曲の制作裏話に始まり、ルーツである両国への思い、さらには国同士の関係性にまで話題が広がってゆき―。

◇家族全員で帰化を決めた時、母はすべての家具を中国のモノにしたんです。  

◇マインドがインターナショナルだから、なおさら日本の良さが分かるのかしら?

◇着ているモノによっても、スイッチが切り替わる。着物だと男性の後ろを歩く、とか。

阿木 先日、NHK BSプレミアムが「こころの歌人たち」というタイトルで、私の作品集を番組にしてくださった折に、久しぶりに「魅せられて」を生で聴かせて頂きました。

ジュディ 恐れ入ります(笑)。

阿木 収録時に感じたのですが、やはりジュディさんは大輪の花だなと。

ジュディ そんなあー。私のほうこそ素敵(すてき)な楽曲を頂いて、感謝しています。

阿木 初めてこの曲をお聴きになった時、ジュディさんは何と難しい歌だろうと思われたとか?

ジュディ 筒美京平先生のメロディーは、16分音符全部に歌詞が付いてるんです。それを音痴にならないように歌うのは至難の業で。あと英詞の「Wind is blowing from the Aegean」の部分の地声とファルセットの切り替えが難しくて。

阿木 でも、あの部分、とても素敵に歌ってくださって。

ジュディ 試行錯誤の末、地声でいくとギリシャの太陽、ファルセットに変えると、ギリシャの風になるということで、裏声になったんですよね。

阿木 私、今までいろいろレコーディングに立ち会いましたけど、「魅せられて」ほど回数を重ねた歌入れはなかったなと。

ジュディ 何度歌っても、歌の途中でディレクターに止められて「そこは違う」って言われて。私、何が違うか分からなくて、トイレに駆け込んでは、途方に暮れて。

阿木 確かに私が聴いても、これで十分じゃないかな、と思うのに、駄目出しをされていましたよね。でも、それだけレコード会社が力を入れてたってことだと思うんです。「この曲はもしかしたら、レコード大賞を狙えるんじゃないか」みたいな予感が、みんなにあったということですよね。

ジュディ そうなんですか? 初めて聞きました。何しろ私は無我夢中で。その時、私「三銃士」という舞台をやっていたんですが、楽屋で空き時間にカラオケで歌のお稽古(けいこ)をしていると、スタッフの女の子達が集まってくるんです。「あの歌を聴かせてください」って。

阿木 まだ練習の段階で?

ジュディ そうなんです。だからその時から、この曲には何かパワーがあるんだろうな、とは思っていましたけど。それに付けて頂いた阿木さんの詞が、また素晴らしかったです。

阿木 あの詞、男性陣から、かなりひんしゅくを買いました。

ジュディ 私はガッツ石松さんに怒られました。どういうつもりなんだと(笑)。

阿木 そんなこと言われても、ねえ。サビの「好きな男の腕の中でも 違う男の夢を見る」というフレーズですね。

ジュディ そうそう、ガッツさんに「本当にそんなこと考えてるのか」って。レコーディングの際に、歌い方を阿木さんにお尋ねしたら、「いいのよ、しゃあしゃあと歌えば」って。 

阿木 そんなこと私、言いました?(笑)。でも、あれって女性の本音ですよね。かなり意味深なフレーズですけど、ジュディさんが歌ってくださることで、爽やかでゴージャスな曲になりました。

ジュディ そう言って頂くと、嬉(うれ)しいです。コンセプトがエーゲ海から吹く風ということだったので、衣装もあんな感じにしましたし。

阿木 白い孔雀(くじゃく)のような衣装、話題になりましたよね。あれ、ある時期から、袖の部分が広がってゆきませんでした?

ジュディ そうなの、紅白(歌合戦)から長くなったんです。

阿木 テレビで観ていて、「うわっ、華やかだな」と。あのゴージャス感が、小林幸子さんに伝わったような気がするんですが(笑)。

ジュディ 当時紅白って、みなさん、本番までどんな衣装を着るのか、秘密になさっていたんです。それまでの白い衣装だと派手さが足りないと思っていたところ、私の衣装の先生が「大きくしましょうよ」って。それで立っていると普通なんですけど、手を広げると長く伸びるような仕組みを考えてくれたんです。

阿木 翼の芯には、何が入っていたんですか?

ジュディ 軽い葦(あし)の棒です。薬指に引っかけて取ると、翼が広がるようになっていて、紅白の時は3メートルに伸びたんです。指で引っかける練習を、かなりしました。

阿木 あの年、デパートで白いシーツが売れたとか。

ジュディ ええ、年末には売り切れたって。シーツ派とカーテン派がいたらしいです(笑)。

阿木 私の周りでも「子供の頃、シーツを巻いて歌いました」という人が結構いる。

ジュディ 嬉しいですね。

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