対談詳細

艶もたけなわ
loading...

林部智史 歌手

2018年8月12日号

阿木燿子の艶もたけなわ/214 

 "泣き歌の貴公子"と呼ばれ、多くの女性ファンを魅了している林部智史さん。今年6月に発表した4枚目のシングル「恋衣」は、 阿木さんが作詞を担当。新曲に込めた作り手と歌い手それぞれの思いや、レコーディング秘話を語り合って頂きました。さらに、聴く者を惹きつけ、泣かせて癒やす"声のヒミツ"も明らかに。お楽しみください。

 ◇"色がないこと"を個性にできたらいいと、考えています。  

 ◇この曲を聴くとみんなが胸がときめいて、恋をしたくなる、そんな曲を書こうって。  

 ◇中性的な声質の方がいいかなと思って、1オクターブ近くキーを上げました。

阿木 歌手デビュー3年目にして東京国際フォーラム・ホールCで追加公演なんて、かなりいい感じですね。

林部 お陰様で。このホールとはとても相性が良くて、実はアマチュアの最後の年から出させて頂いているんです。2年目の時も追加公演させて頂いていますし。

阿木 じゃ、去年に引き続いて、ということなんですね。ところで今回のツアーのタイトル、「意志の上にも三年」。この命名はどなたが?

林部 コンサートタイトルは、チームスタッフと話し合いながら決めました。

阿木 別に私が解説する必要はないんですけど、"石"と"意志"を掛けたんですよね。言い得てますよね。趣味でも仕事でも、1年目、2年目って無我夢中で過ぎますよね。それが3年目になると、やり甲斐(がい)とか覚悟とかが見えてきて、ちゃんとしなきゃ、って、本人に強い意志が芽生えてくる。デビュー3年目の今の心境は?

林部 3年目を迎え、コンサート・アーティストとしてやっていく道筋が見えてきた気がします。

阿木 私の周囲にも林部さんのファンが沢山(たくさん)居ますけれど、客席を見回して、ちょっと年齢層が高いな、とか思われないですか?

林部 はい、僕の年からすると、確かに(笑)。

阿木 コンサートの様子を収めたDVDを拝見したら、とてもファン層が広いんですね。明らかに50代、60代と思(おぼ)しき女性達が、目に付きましたが。

林部 ファンの年代は2年かけて変わってきた感じですね。デビュー曲の「あいたい」は最初、全然火が付かなかったんです。それが4カ月くらい経(た)った頃から有線で掛かり始め、そのうちワッと燃え上がった感じで。売れ方としては、演歌に近いらしいです。

阿木 年上の女性は、本物をじっくり時間をかけて吟味するから、そういうことになるのかもしれませんね。ファン層だけを考えると、ちょっと氷川きよしさんがダブるかも(笑)。

林部 僕としては、嬉(うれ)しいです。

阿木 メジャーへの展開も、一段ずつ階段を上がる感じで、いいですよね。デビュー曲が爆発的に売れると、後で人気と実力の差を埋めるので苦労する場合もあるので。主人(宇崎竜童氏)にしても「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」がドーンと売れて、その後が大変でしたもの。トレードマークだったツナギとサングラスを外しても、一度付いた"突っ張り"風なイメージを払拭(ふっしょく)できなくて、悩んでいた時期もありましたから。

林部 僕のこの3年の道のりが急勾配でなかったことは、良かったんですね。でも、僕にしてみれば、デビュー曲の独り歩き感は、それなりにインパクトが強かったのですが。

阿木 確かに自分の曲がラジオから流れてきたり、パチンコ屋さんの前から聞こえてきたりするとあれっ、と思いますよね。デビュー曲だとなおさら、実感が湧かないというか。本人と歌手としての自分との間に、ギャップを感じたり。林部さんの場合は、その辺はどうですか?

林部 僕、プロとして歌を歌っていく以上、自己プロデュース能力は必要だと思うんです。で、自分で"歌手・林部智史"を俯瞰(ふかん)して眺めてみた時、中性的なところを大事にした方がいいなと思うし、音域が広いことも強みだしと感じています。声質的にも押しつけがましくないと思うので、"色がないこと"を個性にできたらと今は考えています。

阿木 初めて林部さんのお声を聴かせて頂いた時、女性が歌っているのかなと思いました。聴きようによっては女性とも男性とも取れる、不思議なお声よね。

林部 そうおっしゃって頂くと、嬉しいです。親に感謝ですね。

阿木 私、今回、「恋衣」というタイトルでシングルを書かせて頂いたんですけど、来生たかおさんが書かれたメロディーを聴いた時、後半に同じリフレインが何回もあって、詞を付けるのが大変かなと思ったんです。でも、林部さんの透明感のあるお声に導かれて、思いの外、すんなりと言葉が乗りました。

林部 実はあのメロディーは最初、僕が詞を乗せたんです。

阿木 どんな内容だったの?

林部 女性が主人公のラブソングなんです。でもイマイチで、「うーん」という感じでした。

阿木 私も林部さんに歌って頂くなら、ラブソングがいいなと思ったの。ほら、今、恋愛をしない若者が増えているっていうでしょう。それでは現在、日本が抱えている少子化問題に歯止めがかからない。じゃ、この曲を聴くとみんなが胸がときめいて、恋をしたくなる、そんな曲を書こうって。だからこの「恋衣」は社会派の曲なの(笑)。

林部 そうだったんですね(笑)。歌わせて頂く僕は、阿木さんの書かれた詞の内容から考えて、主人公は男性だけど、中性的な声質の方がいいかなと思って、来生さんのデモテープより、1オクターブ近くキーを上げました。

阿木 恋する二人は不倫なのか、純愛なのか、聴くタイミングや、誰と一緒に聴くかで解釈が違ってきそうな詞なので、確かにあまりドロドロしない方がいいですよね。今回、こうしてお仕事をさせて頂いて嬉しかったのは、キーを丁寧に探ってくださったこと。CD化するに当たってキーって凄(すご)く大切だと思うんです。でも、たいていは無理のないところで決められてしまうことが多くて。とくにベテランの歌い手さんになると、どうしても全体に音域が下がるので、楽なところで歌いたがる。仕上がったCDを聴いて、あー、あと半音上げてくれれば、もっと躍動感が出たのにとか、全体が明るくなったのに、とか思うことが結構あるんです。作り手側としては、それがとても残念で。なので、今回は何度もキー合わせをしてくださったこと、とても感謝しているの。林部さんは音域はどのくらいあるの?
林部 使える音としては、3オクターブでしょうか。
阿木 ええっ、3オクターブって凄いですね。

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    林部智史 歌手

    2018年8月12日号

    阿木燿子の艶もたけなわ/214   "泣き歌の貴公子"と呼ばれ、多くの女性ファンを魅...

コラム