対談詳細

艶もたけなわ
loading...

イルカ シンガー・ソングライター、IUCN親善大使

2018年7月22日号

阿木燿子の艶もたけなわ/211 

 「なごり雪」をはじめ、数多くのヒット曲で知られるイルカさん。プロデューサーで事務所社長だったご主人とデビュー当初から二人三脚で歩んできた道のりでしたが、11年前にご主人は亡くなりました。その後は一人で音楽活動を続けています。そのご主人との思い出をはじめ、今後の活動の抱負、同世代へのエールなど盛りだくさんに伺いました。

◇60代は"デザート世代"。本当に自分のやりたいことができるんです。  

◇最大の理解者だったご主人が病気になられて。その後、どれほど大変でいらしたか。  

◇今度は私の番で、夫の先を歩かなくちゃいけないって。そういう思いでいっぱいでしたね。

阿木 イルカさんって、ベジタリアンなんですよね。

イルカ そうです。でも、そう言う阿木さんも、お野菜中心の生活をなさっているとか?

阿木 はい、おっしゃる通り(笑)。私の体は野菜でできてるって言っても、過言じゃないくらい毎日、大量の野菜を食べてます。
イルカ 私は昭和25年生まれなので、親は栄養を考えて肉、肉って時代だったので、子供の頃から好き嫌いはまったく無かったんです。ただ、生き物が大好きだったので、大人になったら動物を食べないで生きてゆきたいな、と思ってましたね。

阿木 その気持ち、よく分かります。私、子供の頃、文鳥を飼っていて。文鳥ってあんなに小さいのに、ちゃんと感情があるでしょう。番(つがい)で飼っていても、それぞれ性格が違うし。そんなことを考えたら命あるものを口にするのが、何だか辛(つら)くなって。できるなら、動物を食べないで生きてゆけたらな、と思ったりするんです。

イルカ 私、親に面倒を見て貰(もら)っている間は何でも食べましたが、結婚をしたら食生活の主導権を自分が握れるので、オーガニックの野菜中心に切り替えたんです。

阿木 イルカさんのプロデューサーで、ご主人の神部和夫さんもベジタリアンでいらっしゃった?

イルカ 全然。とにかく美味(おい)しいものが大好きで、飛行機に乗って北海道に毛蟹(けがに)を食べに行くような人だったので。昨日まで一緒に焼き鳥屋に行ってたのに何で?って思ってたはずです。でも、これだけは曲げられなくて。

阿木 お話を伺っていると、私のは"なんちゃってベジタリアン"で、イルカさんのは筋金入り(笑)。イルカさんと神部さんは若い時に知り合われたんですよね。

イルカ 私が18歳で彼が21歳の時です。私、大学は女子美(術大)に行ったんですけど、そこでフォークソング同好会に入ったんです。彼はその頃すでに学生フォークの世界では有名でしたから、女子美にコーチに来てたんです。年は彼の方が3歳上で、若い頃の3歳差って、大きいですよね。

阿木 本当に。私の年齢になると、10歳以上違っても、みんな同世代(笑)。その頃の神部さんの印象って?

イルカ 私、夫のことは「凄(すご)く勘がいい人だな」って思って。知り合ってすぐに「イルカさんは僕が教えなくてもいいですよね」って言われたんです。確かに私、人になんか教えて貰うものかって思ってましたから、「その通り!」なんて心の中で呟(つぶや)いてましたね。

阿木 神部さんをとくに意識していたってわけでも?

イルカ なぜか素直になれなかったんですよね。"私の中に踏み込まないでね"的なオーラを出しまくってたんでしょうね。で、そのことは二人で活動してからも変わらずに、彼が私のプロデューサーになった後も、メロディーがどうとか、詞を直せとか、よほどのことがない限り、言いませんでしたね。

阿木 でも、イルカさんはご結婚なさる時には、「どうぞ、私を素材として自由に使ってください」っておっしゃったんでしょう?

イルカ 煮るなり焼くなりって感じですよね。でも、それはあくまでビジネスとしてで、私の作る世界には土足で入ってこないでね、みたいなバリアーはありましたね。

阿木 お二人は初恋同士ですよね。

イルカ そうですけど、本当のところ、夫はどうか分かりませんが(笑)。

阿木 神部さんと出会わなかったら、今のイルカさんは存在しない?

イルカ 200%、いませんね。夫が「歌え、歌え」と背中を押すので、私は「嫌だ、嫌だ」と言いながらも、二人でやってきたので。

阿木 お二人の関係って、そこが面白いですね。バンドを一緒に組みながら、神部さんの方は早々に歌うのをやめて、イルカさんのプロデューサーに回られたのでしょう? 知り合われてすぐ、イルカさんの才能に懸けてみようと思われたんでしょうね。

イルカ どうなんでしょうか。後から聞いた話ですけど、私は彼がそれまで一度も会ったことのないタイプだったようで。

阿木 モノ珍しかった?(笑)。

イルカ 珍獣のようにね。最初は驚いたみたいで。

阿木 どういうところに?

イルカ 当時、ミニスカートにハイソックスみたいな可愛らしい格好をした子が多い中、私はいつも破れたジーンズにボサボサ頭。

阿木 あらッ、結構パンク(笑)。

イルカ もともと私、ロック少女だったもので。だから最初、女の子だよね?という反応があって(笑)。その後は、この手のタイプは絶対自我が強いはずと思っていたのが、意外に素直だったというのがあったみたいですね。

阿木 その落差で神部さんは恋に。落差婚ですね(笑)。後は会ってすぐに、コイツは只(ただ)者じゃない、ってきっと思われたんでしょうね。

イルカ 夫は子供の頃、少年合唱団で歌っていたので、歌に関しては正統派なんです。でも、吉田拓郎さんの歌を聴いて、これからは歌が上手(うま)いだけじゃ駄目だ、と思ったそうです。夫には高校生の頃から、ゆくゆくは芸能界に入ってプロデューサーになりたいという夢があったようで。

阿木 じゃ、本当にイルカさんとは、運命的な出会いなんですね。

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

コラム