対談詳細

艶もたけなわ
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中村メイコ 女優

2018年5月27日号

阿木燿子の艶もたけなわ/203 

 2歳半で映画に出演し、有名子役として芸能界を歩み続けてこられた中村メイコさん。作曲家のご主人と出会い、結婚後は1男2女の母親として奮闘しながら、女優業も続けてきました。愉快な夫婦のエピソードから、黒柳徹子さんや故・美空ひばりさんとの秘話など、話題満載。終始、笑いの絶えない爆笑対談となりました。お楽しみください。  

◇旦那が「(植物は)あんたほどうるさくないから、実に楽だ」って(笑)。  

◇ひばりさんのお母さんから、ひばりさんの友達になってほしいと頼まれたとか?  

◇突然、連絡があって。「時折、二人の生活ぶりを覗かせてやってほしい」と。

阿木 私、現在の家に引っ越す時、不動産屋さんが「お隣は中村メイコさんのお母さんのお宅ですよ」と言っていたのを覚えているんです。

中村 そうなの、お隣だったんですよね。私、あの家からお嫁に行ったんですよ。もう60年も前のことですけどね(笑)。

阿木 メイコさんはそれから一度も里帰りをなさらなかったとか?

中村 ちゃんとした形ではね。嫁に出た身ですからね。やたらとは帰れませんよね。私達の頃は、そういう時代だったもので。今は狭いマンションに旦那(作曲家の神津善行氏)と二人暮らしなんです。朝一緒にコーヒーを飲んで、向こうは「仕事をするぞ」って部屋に入ったきり出てこなかったりするので、「お昼になさいますか?」とこわごわ聞きに行くんです。

阿木 あのー、こわごわって?

中村 いつまでも私、旦那様が怖いんです。阿木さんのところは友達みたいなご夫婦でしょう?

阿木 まぁ、そうですけど。でも、神津さんって、気難しい方ではないでしょう?

中村 気難しくはないんですけど、まぁ、言ってみれば昔風の男ですよね。それに姑(しゅうとめ)に大事に育てられた末っ子なので、ねーえ(笑)。

阿木 そうか、亭主関白!(笑)。でも、メイコさんは時々、神津さんを驚かせるご発言をなさるそうで、アマゾンから本が届いたら、「あらッ、そんな遠くから?」とおっしゃったとか(笑)。

中村 そうなの、「濡(ぬ)れないの?アマゾン川を渡って」って(笑)。本当に私、いまだに社会性がなくて。よく周りから「はぁー?」とか言われます。

阿木 それに比べて、神津さんは学術肌?

中村 そう、植物の研究をしてみたり。「植物は喋(しゃべ)るぞ」と言うから「へー」って驚いたら、「あんたほどうるさくないから、付き合っていて実に楽だ」って(笑)。

阿木 でも、メイコさんだって、猫に話しかけて、いろいろ教えていらっしゃるんでしょう?

中村 私、小さい頃から演出家にああせいこうせいと指示されていましたから、動物と接する時も命令形じゃなくて「もし良かったら握手しない?」とか話しかけるんです。

阿木 犬と違って、猫は躾(しつ)けられないといいますけど?

中村 ううん、ちゃんと「お手」とか覚えますよ。ウチの猫、"しじみ"というんですけどね。

阿木 じゃ、今は神津さんと、しじみちゃんとの暮らし。

中村 嫌ですね。

阿木 えッ、嫌って?

中村 つまんない。

阿木 ウチも主人と猫との暮らしですけど、とくにつまらなくは。

中村 でしょう? 素敵(すてき)な旦那様ですもの。

阿木 神津さんだって、いつもジェントルマンで素敵じゃないですか。わが家は夫婦共々、偽装してますから(笑)。そういえばメイコさんは、神津さんの入れ歯と老眼鏡に気付かれなかったとか。

中村 あちらはそういうプライバシーを、まったく女房にも見せないんです。

阿木 でも入れ歯にするには、歯医者に何度も通わなくてはいけないし、老眼鏡だって新聞読む時に掛けるでしょう?

中村 私、彼の仕事場に入る時は、必ずノックするんです。ある時「入ってもいいですか?」ってドアを開けたら、鼻眼鏡をしたおじさんが居て、「えっ、あなた、いつから?」って聞いたら「当たり前だ。この年になったら、誰だって老眼だぞ」って。私達、そういう夫婦なんです。

阿木 結婚歴60年で、そんなふうに距離を保てるなんて、素敵な関係! ウチはまったく逆で、お互いに平気でひどい格好を見せ合っています。

中村 でも、それが本当の夫婦なんじゃないかしら。変なんですよ、私達の方が。変なところで気取り屋なんです。そうやって、この年まで来ちゃった。

阿木 じゃ、メイコさんはご主人に、すっぴんをお見せになることは?

中村 ないですね。

阿木 女性の鏡というか、尊敬します。昔、何かの雑誌で読んだんですけど、終戦直後の物の無い時代に、中村家では焼き芋を食べる時、お皿に乗せ、ナプキンを膝に掛け、ナイフとフォークを使って、召し上がっていらしたとか。私、それを読んで、素敵なエピソードだなって感動したのを覚えてるんです。

中村 父がそういうわざとらしい人だったの。英国紳士を気取っていたので、私がこんなふうに浮世離れしちゃったのね。私、子供の頃、父に言われた言葉が忘れられなくて。「メイコ君、君には涙は似合いませんぞ」って。私が「パパ、何で?」って聞いたら、父はちょっと困った顔をして「いや、美人なら多少の涙も良いもんですがな......」、それしか言わなかったんですよ。それで私はすべてを悟ったのね、「そうか、私くらいな器量の女の子は、いつもニコニコしていなくちゃいけないんだ」って。

阿木 メイコさんは2歳半で映画デビューなさったんですよね。それも漫画の「フクちゃん」役。その時から共演者は、古川ロッパさんやエノケンさんやらで、喜劇の方が多い。なので2歳半から、喜劇女優さんでいらした。

中村 子供心に自分でも思ってましたね。私、一人っ子で凄(すご)く可愛がられて育ったので、みなし子役なんかで「お母ちゃん、行かないで」なんて言っても、きっと下手クソだろうなって。父もお涙頂戴的なものが嫌いで、明るい路線がいい、とずっと言ってましたしね。

阿木 それが芸能界で、唯一無二のメイコさんのキャラクターになった。

中村 そうね。だから「アイ・ラブ・ルーシー」みたいなコメディーが日本にも根付いていたら、私ももうちょっと、良い仕事ができたかもしれませんね。

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