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艶もたけなわ
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田中麗奈 女優

2018年5月20日号

阿木燿子の艶もたけなわ/202 

 清涼飲料水のCMで初代イメージキャラクターを務めて人気を集め、女優としてのキャリアを着実に積み重ねてきた田中麗奈さん。最新作「おもてなし」では、流暢な中国語を駆使し、日本女性のたたずまいも見事に演じ、海外でも好評を博しています。そんな田中さんの演技論に加え、普段は見せることのないご主人とのプライベートの一面を垣間見させていただきました。

 ◇私の中には表現者として、生き様を見せたいという欲求が常にありますね。  [

◇ところで閃き型の麗奈さんは、ご結婚もピピッと?(笑)。  

◇よく言われるんですけど、そういう感じではなくて、回を重ねて会っているうちに。

阿木 見事な中国語でしたね。麗奈さんの最新の主演映画「おもてなし」を拝見して、感心しました。

田中 ありがとうございます。ただ中国語を勉強したのはずいぶん前のことだったので、出演が決まってから、改めて勉強し直した感じです。

阿木 映画の冒頭で台湾人俳優のワン・ポーチエさんが演じる青年、ジャッキーに「中国語うまいね」と言われてましたよね。

田中 でも、あの時はまだ「ニーハオ」ぐらいしか言ってないんですよ(笑)。

阿木 あー。そうでしたっけ(笑)。でもあの映画の全編を通じて、かなり中国語の台詞(せりふ)を喋(しゃべ)っていらっしゃいましたよね。

田中 日本語と中国語の両方だったので、大変ではありましたけど。

阿木 「おもてなし」は日本と台湾の合作映画ですよね。中国語と一口に言っても、北京で使われている中国語と、台湾ではかなり違うでしょう?

田中 北京語は日本の標準語みたいに、中国のどこでも通じますが、台湾の中国語は、やはり地域色が強いというか。発音は中国本土のものより滑らかですね。

阿木 その辺の使い分けが難しそうですが、今回はどちらだったんですか?

田中 私の役の設定が、出張で中国本土に行っていたということになっていたので、基本的には北京語ですね。ただ相手役のワン・ポーチエさんが台湾の方で、日本と台湾の合作映画、台湾では語尾に「ナー」とか、「ヤー」とか付けたりするので、それをちょっと取り入れて、ミックスした感じでやっています。

阿木 映画の粗筋としては、麗奈さん扮(ふん)する琵琶湖にある老舗旅館の跡取り娘が、旅館を買収しようとしている台湾の実業家の息子とやり合っているうちに、両者とも日本の持つ"おもてなし"の精神の素晴らしさに気付いていくというものですよね。麗奈さんはお着物が本当に似合っていらっしゃいました。所作がこなれていて、着慣れていらっしゃる様子が、画面から見て取れました。

田中 そう言って頂くと、凄(すご)く嬉(うれ)しいです。以前から和のお稽古(けいこ)事をやっていましたので。

阿木 今まで続けてきたお茶や着付けや日舞の素養が、すべて役に立っている感じですね。この映画は麗奈さんあっての企画だったんですか?

田中 いえ、元々企画として存在していて、何年も前から実現に向けて動いていたみたいです。

阿木 そうだとしたら、よくこんなピッタリな役のオファーが来ましたね。逆に言えば製作者サイドは、よく麗奈さんに白羽の矢を立てたものだなと。だって、まず中国語をここまで喋れる日本の女優さんはそうそう居ないでしょう?それに日本の伝統的な芸事にも精通していないといけない。そういう意味では、この役はかなりハードルが高いですよね。

田中 私が中国語を勉強していたことや、中国、台湾をはじめ、アジアで活動をしてきたことを耳にされた方が、監督に推薦してくださったみたいです。

阿木 それにしても外国人の監督が撮られると、見慣れた日本の風景がエキゾチックになりますね。

田中 私もそれは感じました。ジェイ・チャン監督は台湾生まれなのですが、お育ちになったのはアメリカのテキサス州で、そこで映画のお勉強をなさったようです。なので、アジアンテイストな面と、ハリウッド的な要素の両方をお持ちなんだと思います。

阿木 夕暮れの琵琶湖の景色が、こんなにも幻想的だなんてと絵葉書(はがき)を見るような感じで、画面に見入っていました。私達日本人が気付かない、日本の良さみたいなものが画面に映り込んでいましたね。

田中 絵画的なシーンが、随所にありましたよね。

阿木 そもそも麗奈さんが女優さんを目指された動機って?

田中 最初に意識したのは5歳くらいでしょうか。でも、本当にただ漠然と憧れていただけで。テレビや映画のスクリーンの向こう側で輝いている人達のようになりたいって、幼心に思った感じですね。

阿木 芸能界入りのきっかけは、モデルさんですよね? モデルさんと女優さんだと、与えられた役の掘り下げ方が違うでしょう? モデルさんは基本的に奇麗に写ればいいけど、女優さんは人間の負の部分も演じなくてはいけない。嫉妬深い部分とか、意地の悪いところとか。生き様がそのまま出てしまう。

田中 そこが大変でもあり、面白くもありで、私の中には表現者として、生き様を見せたいという欲求が常にありますね。

阿木 そういう意味では一昨年、公開された映画「葛城事件」の時の麗奈さんの演技は凄みがあって、背筋がゾクッとしました。

田中 三浦友和さん主演の映画ですよね。私も脚本を読んだ段階で鳥肌が立ちました。これはズシンと重い作品だなと。

阿木 友和さんが演じるお父さんは、理想の家族を追い求めながら最終的には一家を破滅へと導いてしまうわけですが、ドラマでありながら、ドキュメンタリー映画を観ているような臨場感があって、観ている間中、ドキドキしていました。あの映画の中で麗奈さんは硬質な女性の役で、死刑廃止論者。無差別殺人を犯した次男と結婚をするのですが、義父の友和さんに襲われそうになる。その時、「あなた、それでも人間なんですか」って叫ぶでしょう? あの時の表情が真に迫っていて、今でも脳裏に焼きついています。

田中 そんなふうにおっしゃって頂いて、とても嬉しいです。あのシーンはカットがかかった瞬間、セットの廊下の裏でへたり込んだんです。腰が抜けたような状態になってしまって。

阿木 やり切った感が有ったんでしょうね。赤堀(雅秋)監督と、きっと良いコミュニケーションが取れていたんだろうなと思って、観ていました。

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