対談詳細

艶もたけなわ
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湯本貴和 京大霊長類研究所教授

2018年2月11日号

阿木燿子の艶もたけなわ/189 

「人間に最も近い類人猿・ボノボが40歳前後で老眼に」など、数々のユニークな研究結果を発表している京大霊長類研究所。霊長類に関する先端的総合研究を行う研究機関で、昨年に創立50年を迎えました。それを記念し、サルの図鑑を出版。その監修・執筆も務めた湯本貴和さんに研究の意義や"知られざるサルの世界"をたっぷり教えていただきます。

◇サルには表情筋があり、表情で相手にメッセージを伝えることができるんです。

◇先生は屋久島の屋久杉に登られて、落下したことがお有りだとか。

◇時計を見ると、まだ1時間しかたっていないと思ったのに、一晩、気絶していました(笑)。

阿木 湯本先生が著者に名を連ねていらっしゃる『世界で一番美しいサルの図鑑(注1)』。サル達の表情がとても生き生きとしていて、どの写真も本当に素晴らしいです。これらは、執筆者の学者さんがお撮りになったんですか?
湯本 いえ、世界中から集めたんです。アフリカ、アジア、南米、マダガスカルとそれぞれの専門家がこの本にはかかわっていますが、現地で私達がカメラと三脚を持って、というわけにはいかないので。
阿木 そうですよね。足元の悪そうな所で、撮影は困難でしょうし。
湯本 私達日本人にとってサルは身近な動物ですよね。でも動物園のサルなどは、ストレスが多いんです。それで脱毛症になったりしてあまり美しくない。自然の中で、毅然(きぜん)として生きているサルの姿をぜひ、いろいろな方に見て頂きたいということで、それぞれのサルが一番美しく写っている写真を集めたんです。
阿木 これは図鑑というより、サル達の写真集ですね。先生のおっしゃるように、どのサルも誇り高く命の輝きに溢(あふ)れています。
湯本 この中には個体数が減少している種もいますが、それぞれが威厳を持って生きてるんです。それを伝えるのがこの図鑑の目的だったので、そう言って頂くと嬉(うれ)しいです。
阿木 私、サル達の表情の豊かさにも驚かされました。
湯本 人には表情筋がありますが、実はサルにもあるんです。しかめっ面をしてみたり、怒った顔で威嚇してみたり。サルは表情によって相手にメッセージを伝えることができるんです。
阿木 時として、人間のように、演じることもあるとか?
湯本 ボスザルなどは我々に対して、「人間なんか怖くないよ」という素振(そぶ)りを見せますね。たとえビビっていても、仲間に悟られまいとしているのが、いじらしい。
阿木 私、図鑑のページをめくっていくうちに、ちょっと胸が痛くなって。この中には絶滅種に指定されている種が結構な割合、居るわけですよね。
湯本 サルは熱帯の森林に棲(す)んでいるものが多いんです。今はどんどん熱帯林がなくなってきてますからね。もう一つは乱獲ですね。サルは昼間活動して、群れで生活するので捕りやすいです。しかも人間と同じで、1回の出産に1頭、多くても2頭しか産みませんから、1頭失われるとなかなか回復できない。
阿木 熱帯雨林の減少と、ゴリラの絶滅の危機とかいうと、私達日本人にはあまり関係のないことだと思いがちですが、樹木を紙として、大量に消費していることを考えると身近な問題ですよね。本当はもっと自覚を持たなければいけない。
湯本 あとヤシ油ですね。現在、ヤシ油はポテトチップスみたいなものから化粧品に至るまで、さまざまなものに入っています。そのもとのアブラヤシを植えるために森林を伐採するので、それも大きな脅威ですね。
阿木 熱帯林が減少すると、サルの生息地が失われてしまう。森とサルは切っても切れない関係ですものね。そういえば、もともと湯本さんは植物の研究がご専門だったとか?
湯本 最初、私は花の研究をしていたんです。花にはさまざまな色があり、形があり、匂いがありますよね。その豊富なバリエーションがどこから来るのか、それに凄(すご)く興味があって。そのうち花に集まる昆虫だとか鳥だとかにも興味が広がっていったんです。25~26歳ごろには、動物のほうにも目がいき、アフリカや南米にも足を向けるようになりました。
阿木 学者さんには植物の専門家と、動物の専門家がいらっしゃると思うんですが、両方並行してというのは珍しいのでは?

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