対談詳細

艶もたけなわ
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羽賀翔一 漫画家

2018年1月28日号

阿木燿子の艶もたけなわ 187 

 80年余の時を経て、吉野源三郎の名著がマンガとして発売された『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)は、出版不況の中、100万部を突破。活字本も含めると150万部を上回るヒットだといいます。執筆した羽賀翔一さんは、昭和生まれの32歳。若き漫画家がどのような思いで、この作品を平成の世に送り出したのか。創作秘話に迫ります。

 ◇コペル君の胸の奥にある淋しさや孤独感みたいなものに共感できました。  

 ◇憲法9条の改正が論議される今こそ、読まれるべき本ですよね。  

 ◇どんな時代にも届く形で、戦争に対して「ノー」のメッセージが込められている。

阿木 破竹の勢いですね。羽賀さんが漫画化された『君たちはどう生きるか』は売れに売れて、吉野源三郎(注1)さんの原作と合わせて100万部をゆうに超えたとか。今、どんなお気持ちですか?

羽賀 書店で大きく扱われていたりすると、ああ、本当なんだな、とは思うんですけど。自分の仕事のようで、そうでないような、不思議な気分ですね。

阿木 こんなにブレークすると、後々、税金が大変なので、そちらのほうも今から考えておかれたほうが。余計なお世話ではありますが(笑)。羽賀さんご自身、ここまで売れるという予測はあったんですか?
羽賀 まったく考えてませんでしたね。ただ、原作の『君たちはどう生きるか』は、潜在的に「私の一冊」という感じで愛読していたファンがたくさん居たんだと思うんです。それで新たに漫画という形で世に出た時、出版元のマガジンハウスさんが宣伝する前から、書店員さんが平積みにしてくださったりしていて、火が付いた感じですね。
阿木 上からの宣伝というよりも、もともとの読者とか、書店員さんの思い入れとかで、裾野から広がったということですね。私はこの小説は未読なのですが、漫画を読むと、絶対、原作も読みたくなりますね。そういう意味では原作とのブリッジになったのでは?
羽賀 そうおっしゃって頂くと、凄(すご)く嬉(うれ)しいです。最初、編集者との打ち合わせで、80年間読まれてきた名著を、さらに80年読んでもらうための懸け橋になるような漫画を作ろうと、話し合ったんです。
阿木 基本的にこのお話は、コペル君という少年の成長物語ですよね。コペル君にはお父さんが居ないんだけど、コペル君をこよなく愛するお母さん、そして、コペル君に、人生が何であるかを示唆してくれる叔父さんが居る。主にその叔父さんとのやり取りが描かれているわけですが、最初に依頼された時、羽賀さんは原作を読んでいらしたのですか?
羽賀 恥ずかしながら、この小説の存在も知らなかったんです。タイトルからして、説教くさいお話かなと思ったぐらいで。でも、読み出したら、非常に共感できるというか、押しつけがましいところが一切なくて、コペル君が成長してゆく過程がきちんと描かれていて、心にストンと落ちるものがありました。
阿木 羽賀さんご自身はコペル君の感性に近いのか、それとも叔父さんのほうなのか?
羽賀 年齢的には叔父さんなんですが、感覚的にはコペル君ですね。
阿木 コペル君は、本当にピュアで真っすぐな少年ですよね。真剣に人生を考え、悩み、青春を謳歌(おうか)し、生きている姿が清々(すがすが)しい。その辺が、羽賀さんと重なるところでしょうか。

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