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艶もたけなわ
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倍賞千恵子 女優・歌手

2017年11月26日号

阿木燿子の艶もたけなわ 179 

 映画「男はつらいよ」シリーズで、車寅次郎の妹・さくら役で知られる倍賞千恵子さん。ほかにも「幸福の黄色いハンカチ」「遙かなる山の呼び声」「駅 STATION」など数々の名作に出演しました。その倍賞さんが、現場で出会った人たちとのエピソードを綴った『倍賞千恵子の現場』を出版。今回、名優たちの"素顔"などを存分に語っていただきました。

  •  ◇私、寅さんに似た男性から「結婚しよう」と言われたら、付いていってたかも(笑)。
  •  ◇山田洋次監督とはお互いに刺激し合う同志で、倍賞さんは監督の創造力の源泉ですね。
  •  ◇私こそ「下町の太陽」からご一緒させて頂いて、監督の存在がどれほど心強かったか。

阿木 今日、出掛ける間際に主人(宇崎竜童氏)が、くれぐれも「その節はありがとうございました」と伝えてほしい、と申しておりました。
倍賞 あらッ、何のことかしら?
阿木 映画「駅 STATION」で共演させて頂いた折、千歳空港から主人が乗るはずの飛行機が、大雪で欠航になったそうで。困っていたら「これ使って」って、倍賞さんがご自分が乗る、他の航空会社のチケットを手渡してくださったんですって。その日のうちに帰らないと翌日の仕事に穴を開けるところだったので、とてもありがたかったと感謝しておりました。
倍賞 ええ? そんなこと、ありましたっけ?
阿木 そうでしょうね、やはりご記憶にない(笑)。その手渡し方法があまりにさりげなくて、その時、「ああ、倍賞さんって、本当にさくらさんみたいな方なんだな」と思ったと、主人が言っておりました。
倍賞 まぁ、そんなことをよく覚えていてくださって。こちらこそ、よろしくお伝えください。
阿木 「駅」は倉本聰さんが脚本、高倉健さんが主演で当時、話題の映画でしたよね。
倍賞 ええ、あれは私が初めて、他社に出演した作品で。
阿木 それまで「下町の太陽」から始まって、ずっと松竹の秘蔵っ子でいらした。
倍賞 でも、あの頃はもう、五社協定(注)もなくなり、私、フリーだったんですけどね。
阿木 晴れて自由の身なのに(笑)。
倍賞 松竹で「男はつらいよ」シリーズがずっと続いていたので、専属みたいな感じになっちゃってて。なかなかOKを出してもらえなかったんです。
阿木 「男はつらいよ」は何と通算48本、年月としては26年間という金字塔を立て、ギネスにも載ったシリーズ。そこで倍賞さんは、寅さんの妹役のさくらさんを演じ続けられた。国民的女優さんと言っても過言じゃない。
倍賞 いえ、有馬稲子さんや岡田茉莉子さんに代表される華やかなスター女優さんが多い中、ちょっと前まで長屋に住んでいた子が女優になっちゃったって感じが、珍しかったんじゃないんですか。
阿木 山田洋次監督はそんな倍賞さんに、イタリア映画で言えば、ソフィア・ローレンが演じたような生活感のある女性像を重ねていらっしゃったんでしょうね。
倍賞 そうかもしれませんね。
阿木 今年、出されたエッセー、『倍賞千恵子の現場』(PHP新書)、興味深く拝読しました。長い女優生活の中で、いろいろ経験なさったこと、感じられたことが綴(つづ)られていましたが、とくに渥美清さんと高倉健さんの件(くだり)は、倍賞さんだからこそお書きになれたエピソードだな、と思って。お二人はある意味、対照的な俳優さんだと思うのですが、倍賞さんの目からご覧になると、共通点もたくさんあると?
倍賞 そうですね。私、常々似ているなと思っていたんです。渥美さんも健さんも、カメラの前で余計なことをなさらない。山田さんがよくおっしゃるんですが、贅肉(ぜいにく)がない俳優は良いって。俳優って、いざ本番になると、何かちょこちょこやりたくなるんです。

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