対談詳細

艶もたけなわ
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齋藤孝 明治大文学部教授

2017年9月24日号

阿木燿子の艶もたけなわ 170

 ベストセラー『声に出して読みたい日本語』など著書多数の齋藤孝さん。大学教授として教壇に立つかたわら、テレビ番組への出演や講演会などもあり、多忙を極めています。そうした中、新たに"こども訳"シリーズ『こどもブッダのことば』(日本図書センター)を刊行します。齋藤さんが古典を通して子供たちに伝えたい思いを語って頂きました。

  •  ◇本って凄い文化遺産ですね。本から得た知識は、人生を豊かにしてくれます。
  •  ◇先生は小学生の頃から、日本の行く末を憂える、憂国の士でいらっしゃったとか?
  •  ◇この国の教育は大丈夫だろうかと、小学生なりに心配してたんです。

阿木 私、昨夜、先生がお書きになってベストセラーになった『声に出して読みたい日本語』の中の「白浪五人男」を音読してみたんです。いろいろ調子を変えてやっているうちに、気分が高揚してきて。同じ日本語でも声に出すと、また感じ方が違ってきますね。
齋藤 そうですね。昔の人がやっていた素読(そどく)というのは、頭を活性化するのには良いやり方です。私は高校時代に漢文の素読をよくやっておりまして、とくに司馬遷の『史記』を素読するのが好きでした。そうすると心身共に調子が乗ってきます。言葉は内容だけではなく、リズムも大事だなと思っています。
阿木 確かに歌舞伎や狂言の名調子には、リズムがありますよね。「知らざあ言って聞かせやしょう浜の真砂(まさご)と五右衛門が」なんて声に出していると、そのテンポ感に心が弾んできますよね。
齋藤 言葉の生命って、最初はリズムと一緒にあったと思うんです。それがいつしか書き言葉重視になっていった。本を読む時は解凍作業をするように、一回凍ったものを自分の声で温めて、語りかけるように素読すると、心にすーっと入ってきます。
阿木 視覚と共に、聴覚を動員することで理解力が深まる感じですね。
齋藤 しかも、それを大勢でやると一層、効果が上がります。
阿木 脳がシンクロして、同じ波長に変わるとか?
齋藤 はい。小学生を200人ぐらい集めて夏目漱石の『坊っちゃん』を音読したことがあります。声を合わせてやっていくうちに、最初たどたどしかったのが、6時間ぐらいぶっ通しでやっていたら、スラスラ読めるようになりました。
阿木 そんなに長い時間! そこまでやると、ある境地に入りませんか?
齋藤 ゾーンに入って、疲れを超えますよね。終わった瞬間には大歓声が湧き上がって、みんなに漱石が乗り移った感じになっていましたね。「はなはだ良かった」とか、「すこぶる面白い」といった感想を言い合って。音読はこの"乗り移る"という感覚が大事なんです。

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