対談詳細

艶もたけなわ
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井手英策 経済学者

2017年3月26日号

阿木燿子の艶もたけなわ 146 

「格差社会」と呼ばれて久しい。
しかも、国の財政は借金が膨れ上がる一方だ。その解決策として、「誰もが受益者」という財政政策を提言し、いま注目を集めている論客が井手英策さんだ。昨年、『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)を刊行し、若年層にも分かりやすく財政の仕組みを提示しました。慶應大の井手教授の財政講座、スタートです。

  •  ◇家族に障害を持った人やシングルマザー、働く女性。そこが僕の原点です。
  •  ◇日本は税金が高い国という認識が私達にはありますが。これ以上の増税となると......。
  •  ◇逆です。実際はもの凄く税率が低いんです。

阿木 先生のご専門の財政社会学って、どんなことを研究なさる学問なんですか?
井手 僕はずっと国の予算や税を扱う財政学を勉強してきたんです。でも、財政学を突き詰めてゆくと、本当に知りたいことが分からなくなった。たとえば、何で日本ってこんなに借金が多いんだろうって、思いますよね。そうすると無駄をなくしましょう、支出を削りましょう、増税しましょう。そうすれば、財政は健全になりますよ、って答えが返ってくる。だけど、僕らの常識で言うと、貰(もら)うものを減らされて、支出を削られて、おまけに税金まで取られてしまう。これじゃ、腹が立って仕方がないですよね。
阿木 確かに二重に損をしている気がしますね。
井手 しかも国の借金って、自分達が作ったという実感があまりない。だから、財政学だけでは、国民の納得する答えが出てこない。なので、そこに人間の心情的なものを加味していこうということで「財政社会学」が生まれたんです。
阿木 財政学は主に仕組みや数字を扱う学問だけど、社会学が加わると、私達の心も反映されるということですね。もともとそういうジャンルはあったんですか?
井手 一応あるんですが、日本の大学では多分、僕の講座以外、教えているところはないと思います。
阿木 ずいぶんマイナーな学問(笑)。
井手 言われちゃった。鋭いなぁ(笑)。でも、同じ言うならフロンティアないし、開拓者と言って頂けるとありがたいです(笑)。
阿木 私達が無機質に感じる財政にこそ、本当はハートが付いていてほしいですよね。お金って、基本的にそういうものでしょう。
井手 例えば政府を信じることができなかったら、税金を払うのが嫌になりますよね。
阿木 ええ、何に使われるのか、分からないと感じたら、ビタ一文、払いたくないです(笑)。
井手 財政だけじゃなく、人間を信じられなかったら、関係のない人のために、何かをしてやるのは嫌だってことになりますよね。

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